[山形市]六椹八幡宮初詣 捌ききれない願い事(2026令和8年1月2日撮影)

いつ来ても清々しい気持にさせられる空間の六椹八幡宮。
雪もなく、枝の背後には青い隙間も見える。

「寒くて帽子被ったのがぁ?」
「良い帽子だべ?飾りも付いで」
「ほいず飾りんね、指入れるどごあっどれ、誰がの落とし物だべなぁ」
気温は零度近くだしパイロンにはありがたいことだろう。

「参拝する前から目立づごどなぁ、混雑してっから早ぐ帰れてがぁ」
ケヤキの落ち葉の絨毯へちょこんと立って、初めて与えられた仕事のように張り切っている。

ご神木も篝火に手をかざしたいような体の傾き。
「体幹は大丈夫だべげんと、あんまり無理すねでな」

篝火の向こうには拝礼待ちの人々がズラリ。
四列に並んで進んでくださいという案内看板に従って人々はとろとろと拝殿へ進んでいく。
「拝礼は受け付けっげんと、神様の気分により願い事成就に遅配の生じる場合がございます。
ていうお知らせも必要だんねべが」

「お神酒も飲むだいげんとなぁ」
今時大半が車だべがらお神酒にも手を出せないというもどかしさ。

雪のない境内には苔むした緑の空間が広がり、
地面まで光りの届いている場所は明るい斑点になっている。

ケヤキのウロに二匹のどんぐりが身を縮こまらせてこちらを伺っている。
母親が早く餌を持ってきてくれないかと待つように。

駐車場が社殿のすぐ西側にあり、参道は南側にあるものだから、
車で来た人は大抵鳥居をくぐらずに社殿へ行ってしまう。
やはり参道を正面から見て、それから拝礼すべきと一応南側へ立ってみた。
深い緑色に囲まれて、やはり品格のある異空間だと強く感じる。

「あれぇ、こだんどごさ昔からお金が置いであっけがぁ?」
鳥居の左側にはご神木ならぬご神体?オブジェ?おっきな石が鎮座している。
誰かが置き始めれば次々と人々は置いていく。
「お金ば置がねど」が連鎖する不思議石。

神輿収納庫の屋根には綺麗な波模様の雪甍。

「獅子が子を産んだ?」
「ほだな訳ないべぇ」
「しかも生まれたてで手ば合わせっだし」
神域では何か不可思議なことが起こりうる。

「オゥーーーーづめだいぃ〜!」
「ヴェーーーーづべだいぃ〜!」
手水舎の柄杓置き場で震える竹兄妹。
口の開き方で声も違っていることにお気づきだろうか。

見終えたおみくじは結んだ主が帰った後が大変。
雪が降ろうと、風が吹こうと、結ばれた場所に留まらなければならない。
すでに地面へ落ちて雪解け水にふやけたおみくじもいる。
願い事の生存競争は激烈を極めるんだなぁ。

「今年は午年がぁ、あれ?2026がめんこいごどぉ」
「キラキラネームはやんだげんと、キラキラ数字なら許すっだべ」

「こごさ仮に二百枚あっどしたら千六百万円だじぇ!」
「一枚八万円なのに、大盤振る舞いで何枚でも貰えっからねぇ」
「んだがら八幡様の八万縁ば貰うためだけにくる人も一杯いんのよねぇ」
「はえずば財布さへっでおぐどいいんだどぅ」

笑顔で迎えられ気分の悪いはずもない。
氏子さんたちは目の前のお守りやお札よりもただで頂ける八万縁札を勧めてくる。

「失敗したぁ。おさいとうまでと思って燃やすの持って来ねっきゃあ」
それはそれとしてこの暖かさに手をかざす。

「なえだて中華まんの段ボールばり多いんねが?」
「六椹名物肉まんが売っで売っでしょうがないんだどう」

かじかむのは指だけじゃない。
その指を覆っていた手袋も炎に手をかざす。
そして手袋は考える。
自分は不燃物なのか、それとも可燃物なのかと。

「寒いどぎはやっぱりタバコよぅ」
「禁煙教室さも行ったげんとなぁ」
苦笑しながらの一服は至福の一服。

おみくじの向こうには次々と若者たちが訪れて、
輪っかになって今年の運勢に見入っている。
「受験生なんだべがなぁ。頑張ってけろなぁ、とにかく防滑の靴履げよ」

「山形で「うま」なて発音するい人いだが?」
「みんな「んま」だべよ」
「うまい」も「んまい」も一緒のラーメン県。

遂に茣蓙や藁は人助けに一役買った。
「滑らない靴どがて、溝が深いだの、ガラス繊維が入ったの、金属ピンが付いっだのてゆてっげんとよ」
どれも一長一短。
古来からの茣蓙や藁より滑らないものは未だにない。

その指先に一念を込める。
みんなこうやって一年の無病息災や五穀豊穣を祈る。
神様は裏で額に汗して、願い事をまずはカテゴリー分けして、
そのあとに地域分けして、緊急性の高さをランク付けして大わらわのはずだ。

「初飴あがっしゃいはぁ」
「まだ初飴には早いべ」
「ほだごどない、血糖値上げで撮影頑張ってけろ」
断る理由もなく血糖値を上げさせてもらうことにした。
アリガドサマ。

「花より団子ていうげんとよ〜」
「参拝より肉まんてがぁ〜」
いやいや、みんなきちんと参拝もして肉まんも食べている。
「ほっだな、寒っむいどごさ肉まんあったら誰だて買うっだずねぇ。
砂漠の中で冷ったい水ば見つけだのど同じだものぉ」

笑顔が並び、その中を爆ぜた火の粉が飛び散る。
寒くても肉まんみたいに暖かい家族でありたいと思った一年の始まり。
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