[山形市]春日町・清住町 光りの勢い陰の力(2024令和6年6月1日撮影)

撮影行く途中の道すがら、真っ赤なバラを見つけて心に火がついた。
背後には火の用心の看板。
「消化すっだい看板は、火ば点けっだいバラば邪魔だべなぁ」

冬の間はフェンスの網目を風が吹き抜け、傘は寒くて凍えていた。
「みんなのおがげで今は風も当だらねし、ありがどさまなぁ」
フェンスを伝うツタたちは、ただ網目に絡まっているだけなのに、
それでも誰かのためになる事もあるんだと、自分たちの存在に俄然意義を見出した。

「天気予報はスカっだなね」
「スカてなんだ?」
「はずれっだべよ」
青い空と竜山と霞城セントラルと山交バス。
なんと贅沢な山形三昧の光景。

「ほっだなあぶないったら、ちゃんと何がさたづいでろぉ」
キーコーヒーは幟の危うさに気が気でない。
「ばだばだ動ぐなず、踏ん張んのも大変でわがらね」
ブロックやプラケースも幟へ文句をいう。
「悪れのは風だぁ、俺ば揺らすんだもぉ」
定食ありますの看板はそ知らぬふりで真下の騒動を他人事としてみている。

「すごい鋭角的な三叉路だずね」
「おれさもこれぐらい鋭角的な鋭い才能があったらなぁ」
道を見て才能に結びて考えるなんてなんと凡人。

「早ぐかしぇろぉ」
「いづなたらでぎるんだぁ」
看板を見上げて草花たちは囃し立てる。

「作る気あるんだが?」
「俺さ聞がっでも困るっだず。俺はただの看板だもの」
手作りっぽい看板は?がされもせず、主に見捨てられたのも知らないでいる。

「あれ?昔は山本学園ていうのんねっけがぁ?」
あの象徴的な八角形?だがの校舎もないんだなはぁ」
時は変わり校名は変わり、そしてなんと女子野球部はスポーツ界で注目されている。

「ほごはコーラば入れでおぐ場所んねがよ」
バイクに咎められ、鍋はバーっと口を開けて威嚇する。

全身で疲れを現わしている窓際の本たち。
「窓際さいっどなんにもすっごどないし、んでも疲れんのよねぇ」

「ヘルメット被って横断歩道ば渡るんだがらな」
母親は子供にしっかりと交通ルールを教える。
霞城セントラルはその親子の姿をしっかりと見守っている。

「なんだがしゃねげんと斜線の模様がカッコいいがら撮っておぐが」
「しゃねずぁないべよ、おらだは今を時めくラベンダーだず」
ラベンダーはツンツンしてこちらを睨んでくる。

「なんだがしゃねげんとポワンポワンて優しそうだがら撮っておぐが」
「ちゃっこいのに気づいてけでありがどさま」
結局あまりの小ささ(数ミリの花弁)に名前を知ることはできなかった。
ちょっと待て。植物の大きさで名前が分からないとは変な理屈。

「昔あったけどぅ。ツツジは花ビラば地面さ落とすど、その花ビラは金平糖になるんだっけどぅ」
「その金平糖ば拾って食た子供だはみなツツジになてしまたんだどぅ」
「だれがほだな変な事ゆたの?」
「んだて一瞬落ちた花ビラが金平糖に見えだんだもの」
それを考えた時は糖分が足りなかったにちがいない。

バラの枝がトラックの荷台へ伸びていく。
アマゾンや楽天の荷物が届くのを、首を長くして待つように。

時は止まってしまったのか。
窓枠はピクリとも動かず、蔓は伸びるのも忘れ、金網は傾く。
動くものといえば、ガラス面の青空を流れる雲だけか。

どうしてこの名が付いたのか、白鳩公園へやってきた。
地面では枝葉をかいくぐった光りが斑となって揺れている。

ギッコンバッタンに乗っかっているのは陰と光だけ。
重さのない陰と光じゃギッコンンバッタンは動くこともできそうにない。

「俺が支えでるんだじぇ」
がっちりとブランコの支柱を支えている自負を発散し、
緑の体はみな固い筋肉に見える。

根っこは幾重にも重なりあって地面をのたうつばかり。
たまには子供たちが座ったりもするのだろうが、
今日は根っこの休息日ということか。

何故かどこでもゴミ集積所は公園の脇にある。
様々な注意書きの奥で控えているのは赤と青の滑り台。
いつ子供たちが来てもいいように、滑りやすい角度を維持している。

ほんの数センチの輪っかにはすでに蜘蛛の巣。
その蜘蛛の巣を払いのけるのが小さな熊手のような若葉の初仕事とは。

天気予報に反しギラつく太陽。
その勢いに負けまいと、陰も力を込めて受け止める。
太陽はそれぞれの葉っぱの輪郭を際立たせて囲い込み作戦に出るが、
陰はそれを押し戻そうとし両者の力は拮抗する。

ブランコの座面と陰の座面はS極とN極か?
陰のブランコはギューッと青いブランコに引きつけられる。

「当たるも八卦当たらぬも八卦てがぁ」
空を見上げたり両脇を見たりしながら、
リスは天気予報と宝くじの当たる確率を比較して、令和には不釣り合いな掛け声を上げている。

「うおおおお〜!」
「家が覆われでしまうじゃあ」
「まるでバラの宮殿みだいだなぁ」
「いや、ベルサイユのバラだぁ」
大通りの十字路にあるバラ御殿はあまりにも目立ち、
信号待ちの車からフロントガラス越しに真っ赤なバラを覗き込む。
赤は止まれのため、みな止まったまま青くなった信号に気づかない。
しゃねげんと。

旬を過ぎた花弁は塩をかけられたように萎びていく。
そして地面へ落ちて、やがて地面のシミとなる。

「どさ行ってもツツジだもなぁこりゃ」
「一番いい季節だべしたぁ」
その季節の真ん中にいると、それが当たり前となって恵まれていることを忘れてしまう。

「地面に近い芝桜は地面の照り返しで大変だこりゃあ」
「いやいや、今日は真上の太陽が一段と強くてしゃますしったのよぅ」
芝桜は銀色に光る葉っぱを広げて空を見上げる。

「シベールもいろいろあっけげんと今はなんたんだがねぇ」
そんな思いの中、端正な形の山交バスが目の前に現れる。
「なしてだがしゃねげんと、山交バスば見っど癒されるていうが安心すっず」
「仙台でなの見つけっど嬉しぐなんもな」
「乗りもすねのにぃ」
「はえずぁやねでけろず」
昭和のころは毎日乗っていたのに、今はまったく乗る機会すらない。
乗るとしたら「日本一の芋煮会」のときのシャトルバスくらい。
「んだら毎日「日本一の芋煮会」があっどいいのっだな」
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