[山形市]十日町・歌懸の径に提灯濡れる(2023令和5年7月15日撮影) |
注:撮影を終え、いざ編集しようとしたらパソコンが動かない。 あの3.11の年に購入したパソコンが逝ってしまったのです。 ということで、写真は二週間熟成され、梅雨のためカビが生えているかもしれませんがご容赦ください。 |
「花笠まつりばは、おらだがPRしてけらんなねべぇ」 子供たちの拙くもかわいい絵柄の提灯が、 花笠まつりを盛り上げようと灯りを照らす。 |
「友撫でよだど。友たちは撫であうことが大切なんだべな」 「縦に読むなず。横に読め」 縦書き文章に慣れた親父は嫌われる。 |
ピターっとくっついて離れない。 そんなに地面が恋しいか? 落ち葉は悲しげに夕暮れの灯りを見るばかり。 |
「あの葉っぱは靴で踏んづけらっで、こすぐらっで今頃はボロボロだべなはぁ」 その心配の心の中には、自分はまだまだ水を弾くという優越感も存在している。 |
浮かび上がった提灯たちの願いは、 滴に映され落ちていく。 |
「今の人を逃がさないこと」と左端のおみくじが言っている。 このおみくじを引いたのは、窃盗犯を捕まえたばかりの警察官だったりして。 |
雨の日は日が暮れるのも早い。 歌懸稲荷の境内にも夕闇が入り込み、紫陽花たちは闇の中に紛れ始める。 |
闇の中にツンツンと立ち上がる雄しべたちは、 背後の提灯の灯りがしっかりとその形と意思を際立たせてくれる。 |
益々闇は勢力を増してくる。 雄しべたちが闇の中へ紛れて眠りにつくまであとわずか。 |
歌懸稲荷から本町方面へ足を向ける。 立ち止まらせたのはチョウセン朝顔。 花弁が日本の朝顔よりぽってりして大きいし滴は垂れるしで、 顔を上に向けることはできないようだ。 かといって気持ちは下を向いちゃいかんぞ。 |
かろうじて花弁の震える指先がツンと立ち、虚空を指している。 「私の故郷はあっちなの」 そう聞こえたのは幻聴か。 |
空に浮かんで「空」と表示する。 もっと地面に近ければ「地面」と表示するのか。 |
雨は町を濡らす。 灯りは濡れるのも気にせず、夕闇に際立ってくる。 |
「おらだ場違いなんだべがなぁ」 「季節的には場違いだべな」 「季節の問題は置いといて、これから先落ち着く場所はあるんだべがなぁ?」 ホテルキャッスルの脇で空を見上げるトナカイたち。 |
楽しそうだなぁ。 男の子は鉄棒の向こうから溢れてくる笑い声に聞き耳を立てる。 仲間に入りたいけれど、その術を知らないし何よりも恥ずかしい。 |
街が闇に沈む頃、草花たちは何を考え、暗い夜をどう過ごすのか。 「なんにも考えねで、夜ど仲良ぐするだげっだなぁ」 |
濡れた路面をヘッドライトが滑り辺りを照らしていく。 その間浮かび上がった紫陽花の花は、再び闇に紛れる。 |
自販機や案内板は本当は恥ずかしがり屋なのに、 強制的に明るく振舞うように仕掛けられている。 その灯りは雨粒の落ちる水面で小刻みに震えているようだ。 |
第二公園に汽車が停まってから何十年。 毎年月見草の咲くのを眺めながら、昔日の思い出に耽っている。 |
表通りは飲み会の人々が楽し気に闊歩していることだろう。 この時間に第二公園へ足を踏み入れるものなどいるはずもない。 深夜になれば酔っ払いが入り込んでベンチで寝ているかもしれないが。 |
蛍が飛び交う宵闇となってきた。 「蛍のはずないべな。ただのイルミネーションだどれ」 「なんだず人が夏の宵の風流ば楽しむど思てんのに」 「んだてイルミはイルミだもの・・・」 |
回転ジャングルジムは時が止まったようにうんともすんともいわない。 ただ、よく見ればその鉄の棒から滴が垂れ落ちている。 子供たちの足で削られた地面の窪みに滴は落ちて、 遠くのネオンが微かに揺れる。 |
女の子は鳩に呼びかける。 「お前は六小の象徴の鳩だげんと、こごは二小学区だがらな」 六椹八幡神社のお祭りは二小と六小の関ケ原合戦のようだった。 あの鐘楼を最後に勝ち得るための戦いが繰り広げられたんだ。 なにしろ当時、六椹八幡神社は学区の境目にあったからねぇ。 |
パイロンの頭にくっついたライトが睨んでくる。 道路ではみな雨ににじんだ灯りを闇に浮かばせている。 突然パイロンのライトが不意打ちのようにピカッと光った。 目がくらんでその灯りを捉えることは叶わなかった。 そして再びライトはだんまりを決め込んだ。 |
栄町通りは旅籠町付近で拡幅されたが、 この駅前通りと交差する付近も建物が次々と解体されているので、 もしかしたら栄町通りの拡幅の一環かもしれない。 「しゃねげんと(知らんけど)」 重機はエイリアンのごとき風体で闇を圧している。 |
ダイエーのアーケードには人が群がっていた。 今は昔。 肌美人を気にする風もなく、おじさんがスマホを見つめるばかり。 |
青信号を待つ間、赤信号は傘を透かして持ち主の人物を浮かび上がらせている。 青になった途端、傘も青い色に変わりそそくさと立ち去って行った。 |
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