◆[山形市]十一屋・七日町 歯っ欠げで御殿堰丸見え(2023令和5年1月8日撮影) |
びっくりするといけないので、写真を見る前に深呼吸をして心を整えてください。 さあ、どうぞ。 「なんだてあのお洒落な建物十一屋が無ぐなたどりゃあ!」 ビルの谷間にすっぽりと空き地ができ、七日町からまた歯が欠けてしまったようだ。 でも心配無用。今までよりももっと山形市民に親しまれる十一屋に生まれ変わるはずだから。 |
おかげで御殿堰が丸見えになってしまった。 将来は十一屋跡地も御殿堰を延長させたような線で結ぶ景観を計画しているようだ。 「もし堰ば流すんだごんたら、七日町通りば挟んで十一屋跡地も散策でぎるみだいな癒し空間になるんだべしたね」 いずれにせよ、新十一屋がどんな風に出来上がるのか楽しみに待つことにしよう。 |
「なしておまえがぶら下がてるんだず?」 「あんたみだいに建物の窓から首ば伸ばす危ない人がいっからっだな」 確かに身を乗り出したりできないように線が張られ、 その線に気づきやすいように、あちこちに手袋がぶら下げられている。 |
「この電線の輪っかてなんだっけぇ?」 つい最近知ったばかりなのにもう忘れている。 鳥が止まれないようにだっけが? 雪がふっつき難いようにだっけがぁ? |
その用途不明の輪っかが大沼の裏通りにはびこり、 濡れた路面と共にキラキラ輝いている。 |
立体駐車場は大体がスロープ状になっている。 溶けだした雪や氷は、動くことが可能になると好き勝手な方向に流れていく。 |
「知恵の輪が?」 「んないず、こいなおっかがり方が理想形なのっだず」 山形には様々な雪が降る。 その雪によって雪かきも使い分けられる。 |
「りんご坊主、頭濡れっだどれ」 顔を映さなくてもこれだけでどこなのか分かる人は、よく七日町へ来る人っだずね。 |
「マスコミは誤解ばまき散らすばりでダメっだなぁ」 山形県の肘折温泉は積雪二メートルを越えました。 そんなことがテレビで喧伝される。 それを見た人は山形の雪が凄いと認識する。 他県のひとは山奥の肘折温泉と山形市では全然違うとは知らないのだから、 変に煽るようなニュースはやめるべきだんねが? |
令和は大沼を始め七日町の何もかもが変わることになりそうだ。 「変わらないのはくるりんバスばりてが?」 「しゃねげんと(知らんけど)」 |
「なんだてサルスベリみだいなつるこっとした樹皮なんだずね?」 その向こうには大沼のシャッターを無理やり隠した観光地が虚しく並んでいる。 |
「なしてアズば撮っかどもたらしゃしゃり出でくるんだず」 中華まんの幟は我こそは冬の主役なりと胸を張る。 |
「土偶の胸だが?」 「あんたは視覚と性格ば直した方がいいみだいだな」 二つの幟用重しは、失笑しながら私を見上げて呆れてる。 |
メニュー表示のお手伝いをさせられるお洒落な椅子は足が細い。 冷たい地面に触れる面積を少なくするためか? |
何回このレリーフを見たことか。 でも気にも留めずに何回も通り過ぎたことか。 山形市民ならみんな知っている、内側が螺旋階段だということを。 |
出来た当時は螺旋階段を意味もなく何回も往復した。 階段を上り二階に上がればお洒落な喫茶店もあったしなぁ。 |
プールには最先端のお洒落な物が溢れていた。 プールで買い物をすることは山形市民にとって誇りであり自慢だった。 「今はなんたんだべなぁ。この頃足が遠のいてしまたがらなぁ」 |
螺旋階段の壁に張り付けられた風見鶏。 知っている人は知っている。 しゃね人はしゃね。 あの霞城公園の最上義光騎馬像ば造った人の作品だがらね。 |
一見煌びやか。 でも人はたまに通るだけ。 「あ、初市になっどわんさか人来っべがらいいがしたぁ。」 |
真昼のイルミほど悲しいものはない。 俯いた点灯管たちが身の置き所に困っている。 |
春の入学式・卒業式を控え、フォーマル衣装のマネキンたちが、 ほっそりした指を伸ばしている。 そのショーウインドウを人は眺めているようで、 実はガラスに映った自分の姿を見ているだけだったりして。 |
大沼のシャッターが降りてからどれだけ経つだろう。 とにかくこの舞妓さんの顔が凍り付く前に打開策を示してほしい。 |
七日町を新幹線が走る。 でもその新幹線に乗客はなく、新幹線の奥には大沼の真っ暗な店内が広がっている。 一市民として、ああ、なんとも苛立たしい。 七日町ばどげんかせんといかん。 |
旧大沼ば撮っかどもたら今度は恵方巻がよ。 季節が分かっていいけれど、大沼ば隠すなて不埒な行いだべした。 ところで今年の方位はどっちだっけ? |
ウインドウに大沼が静かに映っている。 スコップは黙って突っ立っている。 青年はスマホを片手に寒そうに通り過ぎる。 これが七日町の現実。 ほんてん悔しい。んでもこうしたのは他ならぬ山形市民。 |
「なえだてんまそうだずねぇ」 御殿堰沿いに店舗が並び時折人々が店内に吸い込まれていく。 んでもヤマザワ規模の店舗は十日町・本町・七日町・旅籠町といったかつての中心街にはない。 つまり中心街ほど買い物難民が増え、中心街に住むほど買い物には不便だ。 山形市の中心街に住む人々は皆郊外のスーパーへ買い物に行くらしい。 済生館・大沼の土地再利用ばよっくど考えねど、七日町は廃墟になてしまうぞ。 |
御殿堰の冬の風物詩、氷の氷柱。 「まだまだキロキロて太ていねがら寒さはまだまだだな」 |
「この先さ、あのめんごい建物十一屋が見えるんだっけじぇ」 「なえだて街は変わるもんだずねぇ」 「変わるのはいいげんと衰退するのはダメっだず」 |
御殿堰の裏側に回ってみる。 カチャカチャに乾いて、握れば粉々になりそうな葉っぱが寒風に震えていた。 |
御殿堰の上流はなんの整備もされていない。 こんな光景が元々の御殿堰。 空になった植木鉢たちは、いつの日か堰に落ちないかと恐れているようだ。 |
頭隠して尻隠さずの逆。 「屋根から雪落ぢっから気いつけでな」 |
「降りそうで意外と降らねがら、おらだも意外と出番がないずね」 傘のぼそぼそ語る会話が御殿堰へポロポロと落ちていく。 |
「んだがらゆたべした。あそごは混んでるんだずぅ」 「んだがらスマホで他の店探しったんだべず」 歩道に立ち尽くし、何処で腹を満たすか話し合いは続く。 |
「ぴょんぴょんて登ていがんなねっだな、ウサギ年だもの」 「ウサギの親は子供ば見られっど自分の子供ば殺すて、学校で教しぇらっだっけじぇ」 思わず父親は階段を踏み外しそうになる。 |
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