◆[山形市]東志戸田・吉野宿 光の粒をかき分けてゆく(2021令和3年9月12日撮影) |
数年前にもこの建物を撮影させてもらった。 何も足さない、なにも引かない、何も変わらず堂々と立っている。 |
真四角な黒い影を道路へ伸ばし、 背中で太陽を背負っている。 |
「クリスマスだがはぁ?」 「んねじぇ、この形はジュッキーくんだじぇ」 「ジュッキーくんてなんだ?」 「山形国体のマスコットよぅ」 その真偽は分からない。 |
お洒落な家に、お洒落な壁。 その四角い穴を、東志戸田の風が行ったり来たり。 |
動物型単管バリケードが光にさらされ耐えている。 単管バリケードにはカエルやウサギなど可愛いものが多い。 これはキリンか? 工事現場だからと、いろいろ工夫されているんだな。 そんな煌めく場所を日陰から昭和の壁が見つめている。 |
夏と秋の狭間にいることは、木の実を見ても感じることができる。 |
落書きは心の鏡だったのか? 「んだらば、みんなで大きな紙に落書きすっべ。」 否だめだ。皆の本音が分かってひと騒動になりかねない。 |
滅多に来ない電車を待つのもなんだからと、 青い空をボーッと見上げるバツ印。 |
レールはどこかを指差しているようだ。 その先を追ってみると、なんと雁戸山だった。 |
壁を這う配線はまっすぐなのに、 その影はうねうねと波型に伸びる。 光が散乱している天気だからこその光景。 |
このゴールで点を取るのは難しい。 だってバスケットボールより輪っかがずっと小さいんだもの。 |
秋よ来い!と紅葉が心の声を上げる。 そうはさせるかと太陽は夏の名残をまき散らす。 |
こんな立派な花畑を目の前にして、 思わず乙女心に火が付いた。 否、乙女だろうが親爺だろうが、花を愛でる気持ちに違いはあるまい。 |
雲は綿の様に柔らかく、コスモスは芯のない体で揺れている。 この世から硬いものが消えてしまったような世界が広がっている。 |
「おまえの分身はあいづが?」 「んねぇ、その右っだなぁ」 花たちは自分の分身の影を追ってぺちゃくちゃと会話に余念がない。 |
「頭重だくてよぅ」 「首さコルセット付けらんなねんねが?」 寝違えてしまうほど首をがっくりと下げ、ヒマワリは後頭部を光に晒す。 |
女の子たちはゴム飛びをして嬌声を上げている。 男の子たちは日陰でパッタに一生懸命だ。 そんな幻影が浮かんできそうな神社の前。 |
力尽きた葉っぱがトタン屋根に寝そべっている。 その上へまだら模様の影が覆いかぶさる秋近し。 |
「なんだて綺麗に化粧してきたんねが?」 バケツや雑巾、モップたちに囃されて、 消火器は恥ずかしさに益々真っ赤になってしまう。 |
賽銭箱の前には立派な椅子の足がきらりと光る。 番人を自称する椅子は、賽銭箱とアンパンマンを守るためにいる。 |
「目玉がグルグリ回てるみだいだどれ」 「んね、中のペットボトルが騒いでるだげだ」 回収ボックスはサルビアに言われ、 一生懸命言い訳をする。 |
快晴の下、麦わら帽子のおじさんを乗せて、 大型の車輪が力強く路面を踏んでいる。 |
ミラーの中で道路が遠くまで続いている。 と思ったら、小さなミラーにはそれを映している本人が映っていた。 |
サルビアの赤が際立ってきた。 昔なら何処の小学校の庭園でも見かけた。 甘いものが少なかった時代だから、 花の密を子供たちがチュパッと吸えるように植えていたんだろうか。 |
梢の隙間から光が漏れてくる。 見上げるように立派な木だ。 なーんだ。根元を見たらやっぱり市の保存樹だった。 |
「色がすっぱげできたんねがよ」 花たちは騒ぎ立てる。 消火栓は錆の冷や汗を流しながら黙って前を見続ける。 |
「ほっだな蛇口なの捻るいわげないべぇ」 コスモスはトンボの非力を揶揄する。 トンボは蛇口を捻ろうとしていたのじゃなくて、 つるっとした蛇口で自分の顔を見ているだけなのに。 |
「寝ぼすけ、起きろず!」 一輪車は脚立を押しながらいう。 「このまま寝させでけろ」 脚立には蔓が絡まっている。 もはやひと夏の間中寝ていることになる。 |
「止ま〜れ〜」 月日は「止まれ」から力を奪い、 今ではキパッと断言する力もなく、 かすれ錆び付いた声で、だらだらとこぼれる様な止まれを垂れ流しているようだ。 |
「並んで這え」 ミラー先生はドラム缶の生徒たちを這わせてごしゃいでいる。 私の中学時代、確かにごしゃいで生徒を床へ這わせる先生がいた。 |
口から暑い息を吐き、体からは脂汗が滲んでいる。 ミラー先生のお仕置きはいつまで続く。 |
側溝から赤い顔をそーっと出して辺りを伺っている。 そろそろいいんだべがと遠慮気味に首を伸ばす曼殊沙華。 でも咲き方には遠慮がなく自信たっぷり。 |
山形盆地を360度見渡せる位置で、 トンボは雲の流れを見つめながら、これからの短い生き方を思案する。 |
生まれたてのちっちゃなカマキリ。 どうしても出たいというものだからポーズをとって出演してもらった。 ※この画像のみ沼木にて9月3日撮影 |
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