◆[山形市]西バイパス沿いに夕方の田んぼを南下する(2021令和3年6月5日撮影) |
水面が赤々と夕日を反射するころ、 西崎・砂塚・飯塚口・石関・南石関・長苗代・飯沢・松栄と、西バイパス沿いに南下する。 「しゃね地名ばりなんだげんと?」 「はえずぁんだっだなぁ、田んぼばりだも」 |
YTS山形テレビが真っ赤に夕日に染まって、アルコールを飲んだあとの親爺のようだ。 「YTSは最初から建物が赤いんだず」 「なに?最初から飲んでだの?」 徳洲会病院は、冷静な色で夕日に向き合っている。 |
太陽が白鷹の山並みにグッと近づいたのか、 盆地の底は翳りはじめているが、雁戸山の山並みはまだまだ明るい。 そして霞城セントラルの上半身も、まだまだ明るく発色している。 |
標識の裏側の朱色が薄れてきた。 いよいよ今日への別れが近づいてくる。 |
大気を突っつく有刺鉄線も、夕暮れが近づき、 心なしかいつもの刺すような攻撃性は消えうせている。 |
シロツメクサが田んぼの土手にうずくまる。 田んぼを渡る風が花びらをこちょばしていく。 |
田んぼの中に浮かんだようなアパート群。 「夜はカエルの合唱に包まれて眠るんだがっす?」 |
やよいのバス停を見つけたけれど、 煙幕の様にそれを邪魔するのが煙の木(スモークツリー)。 |
「なえだず、乗んのんねのが?」 開けられたバスのドアが閉じられ、山交バスはフンッと発車した。 「乗りもすねのに、バス停の脇さいで悪れがったぁ」 煙の木の隙間から、去り行くバスへ謝るしかない。 |
運転手さんは、なんだべと煙に巻かれたような気分になったはず。 そんな気分を引きずらず、夕焼けの色に滲んでいく山交バス。 |
スモークツリーは最初から夕焼け色なんだが、 夕焼けに染められた色がスモークツリーの色だんだが訳が分からない。 |
真っ赤に燃え上がる西の空。 コンビニはより強力な反対色で人の目を刺激する。 |
空にメッシュを編む電線を、眺めて益々際立ってくるコンビニの灯り。 |
ハウスの中にも夕日は入り込み、 やがて力をなくして黒ずんで沈んでいく。 |
余りに真っ赤に染まった空を眺めて、電柱は呆けたように立っている。 苗の一本一本の隙間にも夕焼けは入り込む。 |
鉄塔は燃え上がる空に立ち上がり、 自分の骨格美を確かめるようにポーズする。 |
テーブルの上の赤いクロスが一気に引っ張られたように、 夕日はあっという間に白鷹の向こうに消えた。 |
夕日の去った後、名残惜し気に首を伸ばし、 シロツメクサはチカチカ光る山形の街の灯りを眺めている。 |
田んぼの鏡面は空の青みと赤みを閉じ込めて静まり返る。 それとは正反対に、大気の中にはカエルの合唱が響き渡る。 |
ヨークベニマル南館店の灯りが不夜城の様にまばゆい。 水面にもその灯りは伝染し、二倍の灯りを夜空に放っている。 |
益々闇の勢力が優勢になるころ、 セブンイレブン松栄店の灯りがひと際浮き上がってくる。 |
ちょいとビールのつまみを買う人、支払いを慌ててする人、 一人寂しく食べる弁当を物色する人、人の流れは絶えまない。 人々の様々な思いが行き交い、綾織となって発熱し、灯りとなって水面にも反射する。 |
もはや光の分子は残り少ない。 目を凝らせば、集落の屋根屋根が寄り添うように闇の底に沈んでいる。 |
圧倒的な真っ暗い世界へ抗うように、街灯はポッと闇夜に浮かびあがっている。 |
上下対象のシルエットになってしまった集落の向こうに、 そこだけ明るい色をまとって霞城セントラルが垣間見える。 |
田んぼの細道をテールランプが右から左へ一線を引いた。 おそらく家路を急ぐ車だったのだろう。 「ど〜れ、俺もこだごどばりしてねで帰っかぁ。」 |
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