◆[山形市]諏訪町・諏訪神社・東原町・もみじ公園 with snow(2020令和2年12月19日撮影)

冬の日差しでギラギラ輝くのはなんの模様?
「よっくど見でやっと分がた、紅花がぁ。山形だもなぁ」
道の真ん中にしゃがみこんで、本当に危ないおじさんと見えたことだろう。

「ほんでなくても道狭いのによぅ、雪が追い打ちばかけんまぁ」
完全防寒のおじさんたちも、雪に関しては傍観するしかない。

「裏道だがら、表通りはこれより雪少ないんねがい?」
雪に足を取られながら、早く大通りへ出たいものだと、急ぐに急げない。

「この辺の自転車てだいたい山大生のんねが?」
学生たちはリモートで部屋に篭り、サドルは雪を被っているしかない。

山形市内の積雪は40センチを越えたらしい。
去年が去年だけに、雪国人もびっくりだ。
そしてウイズ スノーの数か月が始まる。

「何ば積んでだのや?」
「雪は勝手に篭さ入って図々しいのよねぇ」
自転車はほぼあきらめ顔で首をかしげる。

除雪された通りの向こうでは、新緑の木陰で笑顔が弾む。
「本当は寒くて、笑顔が凍り付いっだのんねがよ」

「将来はでかぐなっだい」
「あのケヤキぐらいが?」
諏訪神社のケヤキを見上げ、学生は将来を展望する。

寒すぎてピラカンサは真っ赤。
諏訪神社の本殿も降りしきる雪の向こうに霞んでいる。

「なしてまだネズミがいるんだず」
狛犬は雪帽子のまま不機嫌にそっぽ向く。
「まだ年明げねチュウ」

お太鼓橋のたもとに来た。
葉っぱは自分の最後を悟ったような顔で見上げてくる。

「今年は花火大会もないっけがらねぇ」
八つ手はパチパチ弾けながら今年を振り返る。

葉の落ちた枝の向こうには、すでに初詣の提灯がずらっと並ぶ。

「あれ?あだんどごさビルあっけが?」
「青いビルの右側よぅ」
「あそごは前に料亭嘯月だっけっだな」
今、山形はなぜかマンション建設ラッシュ。

「ったぐやんだぐなっずねぇ」
「雪もコロナもよぅ」
世の中やんだごどばりんね。雪の中ば友達と一緒に歩ぐいだげでも幸せだて思わんなね。

「今から仙台がい。笹谷は大丈夫なんだべが?」
最早仙台は通勤圏。
そんな笹谷や関山、そして仙山線が先日ストップしたていうんだがら、なんとがさんなねべ。

様々な意図を持った者たちが生協の壁に張り付いている。
暑かろうが、雪が降ろうが、その意志が揺らぐことはない。
人間が撤去しない限りは。

マスクの隙間から息が漏れた。
山形ではマスクに二つの意味がある。
ウイルスを吸い込まないように。そして降る雪も吸い込まないように。

山形は人口が減り、尚且つ高齢化が進む。
必然的になんぼ年をとっても雪かきをしなければならない。
これが山形の宿命か。

どこまで行っても雪。
道路はどこまで行っても雪だらけだが、
この少年が将来歩む道はきっと雪だけじゃない。

フェンスの隙間から頭をもたげ、バラは真っ白な世界をまぶし気に見入っている。

もみじ公園を訪れる人などいない。
だからこそ、たった一人でじっくりと水面に吸い込まれていく雪を眺めていられる。

「みごとだねぇ」
「すんばらすいごどぉ」
そんな賛辞の言葉を浴びてきた紅葉。
今は降りしきる雪と静かに戯れる。

紅葉の先っぽが天を指す。
ターミネーターの真似が?
そして紅葉たちは静かに降り積もる雪の下へ隠れていく。

うらぶれた表情の枝に雪が絡みつく。
池の向こうの雪吊りも二等辺三角形の姿が霞んできた。

「ちゃんとゆすばいだんだがよ」
「一冬耐えらんなねんだがらよ」
プロの結びに文句を言ってどうする。

蜘蛛の糸は葉っぱを離すまいと耐えている。
しかし、その力も潰え、葉っぱは水面へ静かに飲み込まれようとしている。

蜘蛛の糸に絡みつく紅葉。
自分だけが助かろうとせず、一緒に助かろうとお互いがぎっつぐくっつきあう。

黒々としたぬめるような水面が真下で誘っている。
紅葉はその行きつく先を覗き込んで、ぱっと開いた手のひらの先から力が抜ける。

「まっすぐ歩ぐのも楽んね」
「確かに雪はザグザグだもねぇ」
今までの生き様だって、ザグザグのくねくねだったがもすんねし。
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