◆[山形市]南沼原歩道橋・産業技術短大 昼と夜・密集と孤高(2020令和2年12月5日撮影)

山形の冬に、こんな快晴が続くはずもない。
そんな気持ちを抱きながらもスカッと抜ける空に気分爽快。
そんな空を遮るように南沼原の交差点が鉄骨を伸ばす。

あの空から半日後、雨はビジャビジャと路面を叩き、
車や看板の灯りがアスファルトに溶け込んでいる。

歩道橋に登ってみる。
左は西バイパス、右には国道348号。

普段でも交通量の多い交差点は、濡れた路面に車の軌跡を残して走り去る。

自宅へ急ぐテールランプが西バイパスを北へ急ぐ。

南ジャス方面から、これでもかとヘッドライトが押し寄せ、山形の夜は光に満ちる。

沼木・西山形方面からの車列が、信号を見つめながら、
早く青になれとイラついている。

信号が青になった途端、ヘッドランプは光の筋をグイっと伸ばす。

交差点の黒々とした路面を、次から次へとライトが行き過ぎる。

足元を気にしつつ、剥げかけた鍵盤のような歩道をそろりそろりと人々は渡ってゆく。

絶対守れよと威嚇するように信号機が、その砲身を交差点に向ける。

歩道橋の上から車の流れを見つめていると、一瞬めまいに似たものを感じる。

車の流れを見るのに疲れ、背後の沼木方面へ視線を移す。
透明アクリルの防護壁に雨水が垂れ、街の景色が滲んで見える。

松栄の県立産業技術短大の上空は晴れ渡り、半日後の雨を想像すらできなかった。

辺りが暗くなれば輝くことができると、その時を待つ孤高のツリーが、手持ち無沙汰に佇立する。

電飾の紐を体中に巻かれ、それでも輝ける時を信じ待ち続ける。

闇夜に怪しげな雲が浮かび、うめき声を放つような桜の枝が空へのたうつ。

おお!あれが産技短自慢のツリーか!
誰も見に来ないし、誰も通らない。
でも、孤高のその姿は凛として雨空へ伸びている。

余りに嬉しくて、ツリーへの感謝を込めて、
懐中電灯を持ちながら周りをグルグルと回ってみた。

群れるイルミネーションにはない孤高の美しさ。
そのツリーと一対一で対峙する。

雨が強くなり、やむなく車内へ移動する。
水滴の向こうには光が雫となり煌めいている。

窓の雫はプチプチと増え続ける。
闇夜のツリーは私が去った後も瞬き続ける。
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