◆[山形市]七日町 賑わいフェスティバル 新しい日常の人々(2020令和2年10月10日撮影) |
土曜日なのに工事は続く。 セブンプラザ(丸久)のあったビルは、御殿堰の脇で新たな顔に生まれ変わろうとしている。 |
工事現場は仮の姿。 工事が終了すれば消えてしまう造形もまた面白い。 |
フェンス一枚隔てて世界が違う。 |
男は白線に一歩踏み出した。 お互いを意識しながら、あくまでも視線は合わせず。 |
一枚に収まった三つの世界。 食べる人、入り口のシェフ、ショッピングに出かける二人。 |
「思うんだげんともよ、なして誰もアマエビて間違わねんだ?」 「間違たら罰当だっからっだな」 |
マスク半額に、グインと大学芋の車が迫ってくる。 |
普段は深閑とした旭銀座がなにやら賑やかだ。 お洒落なバイクの脇で食べるのは何? |
隅から隅まで見通せる閑散とした旭銀座だったはずが、 今日だけは歩道にテーブルなんか出てたりして、お洒落な空間に変身してる。 思えば映画館の並んでいた頃は、すごい人出だったんだけどねぇ。 |
映画館があろうが、人波が途絶えようが関係ない。 ずーーーっとそこにあり続け、ずーーーっと愛され続けた大福まんじゅう。 「皮が薄くてあんこだらけなんだどぅ」 |
袋に詰められた菊を今秋初めて見たような気がする。 「やっとあのシャキシャキが味わえる季節になたがぁ」 季節は秋へ向かって一目散。 |
「よっくど見っど、ヌメッとしてっずねぇ」 「ヌメッとなてやねで、つやつやだずねぇてゆてけね?」 確かにカサカサではないから、何か良い化粧水でも塗っているのかも知れない。 |
お洒落な通りで鳴らした旭銀座。 その一角に疲れた如雨露が俯き、シャベルも寄り添う。 |
建物の意匠を見れば、この地が山形の一等地だったことが一目瞭然。 この味わいはなかなか郊外のロードサイド店では見られない。 |
「イベントが始またて聞いだがら来てみだげんと、いっつも凝ってっずねぇ御殿堰」 本当に久しぶりのイベントだったから、人ごみへ入り込んでいくのが躊躇われつつ、その人ごみにホッとする。 |
撮影許可を得たことに安堵して、勝手に指が動いてレンズをズームする。 何も言わないのにポーズまで取ってもらいありがとう。 |
南隣が高層マンションの工事中だがら、テルテル坊主は天気を祈りつつ、 空を見ることもできないという隔靴掻痒。 |
「ぎっつぐゆすばがんなねっだな」 ちゃんとした日本語だがらね。意味を分からない人は大いに恥じてほしい。 郷に入っては郷に従え。山形にいたらネイティブ山形弁。 |
「どさいだ?どさ行ったんだ?」 不安定な後席に一人乗せられた子供を見て、 思わず親を探してしまう。 |
パステルカラーの壁面をジーっと見入る「七日町」の文字。 |
真っ赤な草鞋が御殿堰に誘われて流れゆく。 勝手にそんなふうに想像したけれど、創作者の意図はどうだったのか。 |
「なにで出来でるんだべ?」 「ほだないいがら、堰のある空間でどだな風に溶け込んでいっか感がえっべず」 |
芸術は空を突き抜けて、曇天を刺激している。 「あのぉ、あんまりつんつんして雨降らねようにしてけねが」 |
川床でお茶なんて、風流この上ない。 「敷いっだ板は頑丈なんだべね、底抜けねんだべねぇ」 初めて見た光景に余計な心配をする。 |
「うッ、足が・・・」 「何した?」 「自分の足んねみだいになたぁ」 「ちゃんと痺れだていえばいいべした」 |
次代の七日町へ仲間入りをするビルが空へどんどん伸びていく。 見上げることもなく、目の前の仕事に追われる人々の知らぬ間に。 |
巨人・大鵬・卵焼きは昭和のトレンド。 大沼・丸久・山交バスが昭和の山形の当たり前。 |
元ジャスコの跡地に立ったマンションと肩を並べ、丸久跡地に高層マンションが工事中。 実は昭和の後半に七日町を五区に分け、それぞれに高層ビルを建てようという計画があった。 まだバブルも来てない時代だったけど、奇しくも形を変えて、そのうちの二棟が出来ようとしている。 |
「中どうなてっか見でみっだいぃ」 「んだらしょうがないずねぇ、ほれ、ちゃんころまい」 |
ようやくイベントが始まり、人々の交流が復活しようとしている。 しかし、新しい日常は直接手と手を触れあうことを許さない。 |
「なにがごしゃいっだんだが?」 「ほごのオブジェで遊ぶなてが?」 「なんだがよっく分がんねげんと、やっぱり笑顔が一番だず」 |
新しい日常は地面とも触れないように、缶に乗って歩くように推奨されている? |
固く閉ざしたシャッター。 大沼をどうするかできな臭い動きが水面下で起きているらしい。 山形人はその動きをじっと見守るしかない。 |
「んぐだいんだずぅ」 「どさや?」 「大沼さんぐだいんだてゆたべぇ」 「大沼なの開いでいねんだはぁ」 「やんだ、やんだぁ」 市民の心をこの子が代弁してくれている。 |
再びこのシャッターの開くことがあるのか。 シャッターの奥には市民の思い出が、薄暗い売り場の中でいまだ燻っている。 |
「このオブジェで遊ぶな、くぐるなて表示があっげんともよぅ、 オブジェは市民に親しまれてなんぼ。こだい子供だが喜んでいるんだがら、 遊ぶななていう無粋な張り紙はどうなんだ?」 |
「お父さん、お母さん、ぶら下がてっどご見でぇ」 やや離れたところからマスクをしてみている両親。 まさか親子でもソーシャルディスタンスが? |
「女の子の指がカタツムリの目のように突き出た。 と同時に男の子の手のひらがぱっと開いた。 ジャンケンの緊張感を兄弟で味わう幸せな時間。 |
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