◆[山形市]松見町・南原町 猛暑が過ぎて気が抜けて(2020令和2年9月12日撮影) |
コミカルなフロントガラス遮蔽物が、千歳山を背後にこちらを見つめてくる。 |
「腕は痛いげんとも食わねでいらんねしねぇ」 おばあちゃんは背中を丸めて信号が青になるのを待っている。 |
「あのカップさはコーヒーの染みた紙が入ったんだが?」 「それとも誰がが、鼻かんでそのティッシュば入れていったんだが?」 どっちも違うと思うが、メニューの文字だけではないという発想がおもしろい。 |
様々なものが貼られ、ぶら下げられ、置かれている。 しかし雑然さがまったくない。 きちんと定位置に揃えられ、そのしつけの良さが皆に染みこんでいる。 |
「んだがらよう、みんな適当にペットボトルば入れたりすっからごしゃぐんだべ」 空き缶入れは気持ちを前面にしてカンカンに怒っている。 |
「ほだい里芋買ってどうすんのぉ」 「ネギなの窓からはみ出しったどれはぁ」 片足を地面に着けて、買い物の荷物を無理やり後部座席へ押し込んでいる。 と想像を巡らしながら、足への力の入れ方を垣間見る。 |
猛暑はガリガリ君とともに側溝へ逃げ込んだ。 |
雨模様の天気予報のもと、西の空はわずかに赤らんでいる。 その空の空間を邪魔するように、車用品メーカーの裏庭ではタイヤが夕涼み。 |
週末の夕刻は気持ちが浮き立つもの。 しかし、遂に猛暑が去ったと思ったら、毎日天気はぐずつき気味。 国道286号はいつものように、いきり立ったような車が行き来する。 |
南原町まで来ると、さすがに千歳山が近い。 店がどんな看板を建てようと、ネオンを輝かせようと、 その背後にはどっしりと千歳山。 |
国道286号の大通りから逃れるように熊野神社への小路へ入り込む。 急に空気は変わり、闇が早くも一足先に侵入している。 |
社殿に電球がポツッと灯り、辺りは樹木の息遣いが聞こえるほどの静寂が覆う。 手水舎の水面が、微かな風に揺らめいている。、 |
灯りに誘われるように社殿へ寄ってみる。 しめ縄も紙垂も湿気を含んだ空気に馴染んでしまい、だらんと体を引力に任せている。 |
闇の中から夜だけ現れる人形たち? 皆、雨風に打たれてきたのか煤けて汚れている。 それでも自分を見てみてと言っているようで、哀れささえ漂ってくる。 |
ベこべこに凹んだリアドアに貼られた安全シール。 自分を反面教師にしてほしいのか? しかも剥がれかけたのか、透明シールで押さえてつけられてるし。 |
「なんだが不思議な雑草だんねが?」 「よっくど見てみろ。細いネットば持ち上げでツリーみだいになったじぇ」 ネットがもしゃもしゃ置かれた場所で、雑草はネットを持ち上げながら伸びるしかなかったようだ。 |
六中の教室の窓に、夕闇の中の看板やネオンが浮かぶ。 無言でぶら下がるカーテンには、闇で塗りつぶされた木々の葉っぱが被さるように映りこむ。 |
「町さいってみっだいなぁ」 フェンスの蔓たちは口々に言いあう。 灯りの煌めく通りへ這って行くのは、困難と知っているから出た言葉なんだべな。 |
この一枚は、ただただ六中卒業生のためだけに、何も考えず撮りました。 |
ランニングの途中で信号待ち。 いよいよ浮かび上がってきた街の明かりに、夕闇が降りてくる。 |
「おまえの風暑いずぅ」 「おまえこそ熱風ば吹きかけんなず」 室外機同士でいざこざ真っ最中の片隅にも闇は忍び寄る。 |
「山形てゆたらこれっだべぇ」 大沼の北側の入口から地下へ降りていき、食べたマヨタコの味は忘れらんない。 |
ボワンと浮かぶ灯り。 その灯りを闇が360度から虎視眈々と狙っている。 |
灯りと闇が交錯するヤマザワ松見町店へ続く道。 六中生の見慣れた光景が、夕方から夜へ、そして真夏から秋へ移り変わろうとしている。 |
「なんだてぎっつぐゆすばがっでいだんねが?」 シートをすっぽり被ったその姿は、近くのネオンから発する光を反射して、 異様な存在感を発している。 |
背後からライトが照射され、地面のうねりがくっきりと浮かび上がる。 思わず体を道路端に寄せヘッドライトの過ぎ去るのを待つ。 |
夜になると街の表情は一変する。 止まれの標識にライトがつくなんて初めて知った。 ガードレールを赤く染めて車は大通りへ入り込んでいった。 |
おそらく公園を照らす街灯に体が吸い寄せられてしまったのだろう。 誰もいない公園へ足を踏み入れる。 草を踏む足音だけが自分を追ってくる。 |
回転ジャングルジムにそーっと寄ってみる。 街灯の灯りを浴びた体はすでに冷たく、熱に浮かされていた季節が終わったことを告げてくる。 |
自販機の足元からワサワサと伸びてくる雑草は、テレビから這い出てくる貞子のよう。 |
「買い物してるうぢにこだい暗ぐなたどりゃあ」 「あんたが何喰うがいつまでも迷てっからっだなぁ」 街の中でヤマザワの看板を見つけると安心するほどに山形人はヤマザワに頼っている? |
ヤマザワの灯りがペリッと剥がれて、駐車場の車に張り付いた。 |
TOP |