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| ◆[山形市]鶴岡東VS青森山田 きらスタに集う人々(2019令和元年6月9日撮影) | 
|  「早ぐあべ!」 「どさ?」 「わがんね!」 柱を出たり隠れたりする子供を追いかけるように、 歓声がトンネルを右往左往する。 | 
|  ピカピカのヘルメットには、スタジアムも薄日も映り込み、 その表面を強い風が磨いていく。 | 
|  一番上から眺めたいのか。 一人になって感慨に耽りたいのか。 | 
|  「やんだねぇ、こだい風強くてぇ」 「んだずねぇ、風さおかがるいみだいだもはぁ」 帽子を気にしながら会話は続く。 | 
|  人々の喉を潤すために汗を掻くコカコーラ車。 | 
|  スタジアムのガラスに体育館が映る。 体育館のガラスにも映っているのか、お互いに呼応するように。 | 
|  自転車に尻尾? 傘は落ちないように、自転車の太い体幹にしがみついている。 | 
|  まさか自分がモニュメントに映り込んでいるなんて思いもしないだろう、 チケットを購入する人々は。 まさか脇の下を覗いているところを私に覗かれていたなんて気づかないだろう、 おじさんは。 | 
|  「土ばなでなでしてけっど、土は喜ぶのよ」 そんな気持ちでならしているわけじゃないだろうが。 | 
|  お洒落な帽子が右や左へ向きを変えながら、 曇天の空を眺めている。 | 
|  はるばる青森から駆けつけて、 山形の空へ声を限りに応援する。 | 
|  知名度抜群の青森山田。 元監督の縁で山形とも繋がりの深い青森山田には親近感が湧く。 | 
|  対する三塁側鶴岡東の声援は、 フィールドを越え大音量が一塁側まで押し寄せてくる。 | 
|  緑のメガホン宙を舞う。 | 
|  足は口ほどに物を言う。 | 
|  YAMAGATAの文字が鮮やか過ぎて目にまぶしい。 | 
|  選手たちが雄叫びを上げる。 白線を慎重に引く手が少しばかりずれてしまう? | 
|  父母の会ほど選手たちにとって強いものは無い。 父母のまなざしは選手たちを包み込むようだ。 | 
|  いよいよ青森山田VS鶴岡東の戦いが始まる。 | 
|  礼に始まり、礼に終わる。 この当たり前の姿が美しく見える。 | 
|  ドンドコドンドコ! 球場の空気をブルンブルンと震わせる。 近づくと脳みそがシャッフルされるようだ。 | 
|  声援という空気に包まれてこそ選手たちは躍動する。 | 
|  空気を思いっきり切り裂く青森山田のピッチャー。 | 
|  鶴岡東のしぶといバッティング。 | 
|  鶴岡東の変則的頭脳ピッチング。 | 
|  青森山田が食らいつく。 | 
|  拍手する手はしっかり日焼け対策。 | 
|  曇天の空を吹っ飛ばせ。 鶴岡東の勢いは止まらない。 | 
|  「あんまり応援さ熱中して、階段から落ぢんなよ」 | 
|  今の季節はヤマボウシが綺麗に咲いている。 スタンドにも父母の帽子が咲いている。 | 
|  スタンドと体育館を分ける横断幕は、 大きく風をはらんで、もう腹一杯だと叫んでいるようだ。 | 
|  帆を張れ!出向! まちがえた。出航! | 
|  一挙手一投足がたまらない魅力。 何故日本人はこれほどまでに野球が好きなのか。 好きのまっただ中にいてよく分からない。 | 
|  「風ば防いっだのが?顔ば見られっだぐないのが?」 「野球さ集中すっだいがら、周りの物ば遮断しったんだ」 | 
|  きらスタだからこそ見られる光景。 バックスタンド・国旗や校旗・霞城セントラル。 まるで三種の神器が揃ったようだ。 | 
|  「ふぇ〜ぃ、眠たい、退屈だぁ」 心の声が叫んでいる。 「看板が風で倒れないように見でらんなねし」 応援合戦が流れてきても、もはや上の空。 | 
|  「おがすげなものて、なんだべ?」 | 
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