◆[山形市]若宮・吉原南 滑る転ぶ立ち上がる(2019平成31年1月6日撮影)

南ジャスコ近くの公園は雪に覆われている。
「こだんどご歩ぐのやんだぐなるぅ。」
雪の下には氷が隠れて、足腰の弱った中年をほくそ笑んで待っている。

遊具は鼻先から息を吐きながら子供達を待っている。
もちろん子供達が吸い込まれていくのは、近くのジャスコだった。

「勢い余ったぁ。」
「どだい滑っか考えでがら滑らんなねっだなぁ。」
笑いに滑った芸人くらい恥ずかしい。

「こりゃ、そり滑りのメッカになるっだなねぇ。」
親も子も、そしてじいちゃんもふーふー言いながら、
何回も上り下り。

「十中まで滑っていぐがら。」
「十中なて三中から分離した学校で、昔は無いんだっけがら。」
そんなこと言っても子供には分からないし興味も無い。

「受験どぎだけ滑らねごんたら、今はなんぼ滑ってもいいがらなぁ。」

寒気が滑っていくだけの滑り台。

「なんだて断固たる態度だずね。」
「懲役が罰金一千万だぁ!」
「思い出ば捨てに来た人ならどうする?」
「・・・?」
変化球には対応できない四角四面の看板でした。

なんの変哲も無い光景ながら掲載する意味がある。
ここはなんと須川と竜山川の合流地点なのです。
だから、道路がUターンしているのです。

右側が須川で左側が新興住宅地。
な〜にもない湿地帯が、今や真新しい住宅の並ぶ地域になった。
そんなことをボーッと考えながら歩いていたものだから、
氷に足を取られ、思いっきり転んでしまった。
転んだときは恥ずかしさの余りすぐに立ち上がるが、その後に痛みがジンジン襲ってくる。

「季節がいいごんたら、お茶でも啜って須川の流れでも見でっだいげんとなぁ。」
バケツの水は頑固じじいの意思よりも固く凍り、
椅子は冷血人間の血よりも冷たい。

「おらだなしてこごさ居るんだ?」
「しゃねっだなぁ、置がっだまんだだずねぇ。」
「要するに用なしてごどだが?」
微かに体温が高まり、カボチャの肌に着いた雪が溶け始めている。

「夏はまだだが?」
麦わら帽子が声を掛ける。
「気が早すぎるんだず。」
椅子は振り向きもせず答える。

須川の流れの中に切り株のような物がいくつも見える。
「埋没林」というらしい。
まだまだ山形には知らないことが多い。

行き場を失った枯れた蔓は、
飄々と奥羽本線脇で漂っている。

雪に屈した夏草は、無念の気持ちとともにへたり込む。

シャーッと金属音が近づいてきたと思った瞬間、
新興住宅街のすぐ脇を山形新幹線が疾走していく。

この写真は複雑なので説明を要します。
一番上が坂巻の跨線橋、そしてその下に奥羽本線、その下に坂巻跨線橋が出来る前の旧道があります。

坂巻跨線橋の下に潜り込むと、
どけどけぇと言わんばかりに重機が威嚇してくる。

威嚇してくる重機のすぐ脇には疲れたような自転車が、
雪を避けるように木の幹に寄りかかっている。

寒椿、ウインカーの点滅に反応し。

竹藪が覆い被さりそうな公園で、
ブランコは姿勢を正して立っている。

坂巻跨線橋は相変わらずだが、
その周辺は新しい道路が出来たり、住宅地が出来たりと激変している。

さすがに雪も、あのトゲトゲの中までは侵入できないでいる。

虚空を彷徨うように空を掃く。

あまりの空気の冷たさに、なにか暖色系を探してみる。
花びらにハーッと息を吹きかけてみた。
花びらは迷惑そうにイヤイヤをした。

こごまった枯れ葉の周りにネコヤナギ。

新幹線をよく利用する方は、この応援塀に気づいていることだろう。
「俺はさっぱりしぇねっけ。んだて東京さ行ぐ機会なのさっぱりないし。」
「おらおらで山形で生ぎでいぐも。」
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