◆[山形市]江俣・江南 梅雨が明け、口も開く(2018平成30年7月14日撮影) |
朝から暑い。 アスファルトの上はなおさらだ。 車のタイヤ達は、よく主が買い物を終えるまで、アスファルトの熱に耐えているものだ。 |
奥羽の山並みも熱気に囲まれて、心なしか靄っている。 |
こんな暑い日は撮影も先が思いやられるなぁと思いつつ、小さな店の前に咲いていた朝顔を撮っていた。 店から出てきたおばさんが、裏側に回ればもっといっぱい朝顔が咲いてるよと教えてくれた。 「おお、簾一面にぶら下がって、簾が我慢して耐えっだどら。」 |
「寝てねで働げぇ。」 長靴はスコップを蹴り上げる。 「日焼け中だ、邪魔すんな。」 スコップは日焼けなのか錆なのか分からない顔を空に向けている。 |
「塀の側は危ないがらな!」 「大丈夫、あたしだはこの塀から守らっでんの。」 旧町名の清水町と書かれたプランターが真新しい。 |
木立の向こうで、一叢(ひとむら)のアジサイが、 こっちへどうぞと誘うように、キラキラとした視線を向けてくる。 |
「こごらげで、ほどがんねぐなたどれはぁ。」 「いつまでこのまんまで居るつもりや?」 自力でほどけない結束バンドは歯ぎしりして耐えるだけ。 |
江俣は周り中、みな新興住宅地に取り囲まれている。 そんな中に昔ながらの光景が頑なに残っていると、自然と笑みがこぼれてくる。 熱さのせいで口をぽかんと開け、口呼吸しながら。 |
西バイパスや嶋地区が近いというのに、この光景はなんだ! 裏通り散歩の醍醐味がここにある。 |
働きバチのように、あちこちの途をこまめに走り廻る郵便配達のバイク。 エンジンを切る暇(いとま)もなく、あっという間に走り去る。 |
小屋の軒先には必ず花が咲いている。 これはタチアオイだが? 「タチアオイは咲ぎ方さ上品さの欠片もないし、便所脇あだりさ咲いでっどいいのんねが?」 こんなことをいうとそのうちタチアオイの祟りを受けそうだ。 |
危ないというより、危うい。 こんな子が、ひょろひょろと道路に現れたら、確かに車は青ざめる。 |
「なんだずチリトリの中でバデっだのがぁ?」 ゴム手袋と軍手は熱中症にでもなってしまったか、ピクリとも動かない。 麦わら帽子は軍手達を気を掛けるように見つめている。 |
山形市街には小さな公園が意外に多く散在する。 しかし残念なことに、親水公園といわれる水と親しむことのできる公園は意外に少ない。 ここ南江俣公園は、そんな中にあって別格の風格を持っている。 ひょうたん池はその規模も大きく、もみじ公園の心の字池よりも広いかも知れない。 しかし、残念なことに梅雨明けの暑さのせいか人影はまばら。 ああ、もったいない。 |
親子がブランコを漕いでいる。 濃い緑たちは邪魔しないようにふんわりと親子を囲んでいる。 |
「皆の衆、集まれぇ!」 両手を広げ、公園中に呼びかけるような格好の樹木。 |
空に青空が見当たらない分、湿気と熱気は盆地に滞っているようだ。 さすがに暑さには抗えず、蛇口をひねりのどを潤し、顔を洗う。 水をジャバジャバ使えるありがたさが身に染みる。 |
「何がゆだいんだが?」 すぼめた口からどんな言葉が発せられるのか気になって仕方がない。 |
屋根瓦にひまわり。 なんだが日本の夏の優等生的な光景を目の当たりにしたようでにんまりしてしまう。 |
「こだんどぎは仕事なのすねほうがいいべずねぇ。」 皆それぞれに、それぞれの場所で昼寝を決め込んでいるようだ。 |
簾の前で涼やかに咲くのはアガパンサス。 土質を選ばず病害虫にも強いという、見た目に似合わぬ力強い花。 |
水路のある小径は夏の散歩を楽しくさせてくれる。 真夏の象徴サルスベリの花が空に向かって咲いているのも目の保養になる。 |
水路に目を落とす。 「ピンクの花が咲いっだじぇ、なんだべ?」 「梅花藻のわげないしなぁ、なーんだサルスベリの花が乗っかってたんだどれ。」 サルスベリもなかなか粋なことをする。 |
八重咲きのムクゲが江俣の街道へ覆い被さるように咲いている。 |
力尽きたムクゲの花びらが、江俣の街道に降り積もる。 |
夏といえば一際目立つノウゼンカズラ。 ゆったりと風に揺られて咲き誇る。 |
「注意!なて呼びかげねったて目立つがらぁ。」 強烈なオレンジ色は、くすんだ街に原色の絵の具をぽたっぽたっと落としたようだ。 |
江俣の友達がよくワラヤワラヤといっていたものだ。 地域の名物店なのだろう。 |
新興住宅地の街角と比べてください。同じ街角でもこんなに違う。 癒やし効果は絶対こっちが上。散歩してて楽しいし。 とにかく醸し出す雰囲気がまったく違う。 真新しい四角い住宅の並ぶ街角は散歩しててもなぜか疲れるし、わくわく感が無い。 |
「布団ばフェンスさ干すのも自由だがらぁ。入居者募集。」 布団の中のダニは今、右往左往してもがいていることだろう。 |
首をくくられる標識。 苦しげに、それでも耐えながら住所を表示し続けている。 |
竹藪が夏空に輝いてなびいている。 汗ダクダクの体に涼風が流れ込んでくるようだ。 |
暑さのせいか、重力のせいなのか、ひしゃげた鉄骨。 なんぼ固いものでも強いものでも、去り際は悲しい姿をさらけ出す。 |
「市の保存樹なんだど。道路さはみ出しったどれ。」 「道路が後から出来たのんねがよ。」 どっちが先なのかは分からないが、ここを車で通る場合はぶつけないように充分気をつけたい。 |
下条五叉路。 この小さな画面で五本の道路がすべて分かりますか? |
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