◆[山形市・天童市]清池・高擶・漆山 もわっと、パキッと(2018平成30年4月21日撮影)

あまりの天気の良さに、まぶしすぎて空を見上げるのが苦痛になるほどだ。
その空には枝葉が広がり、生まれたばかりの若葉が囀っている天童市の清池八幡神社。

清池八幡神社の前には、山形盆地の大っきな横皺のような大通りが東西に走っている。
その通りには地下道があり、歩行者や自転車は通りの下をくぐって行ける。
「おら東さいぐも。」地下道窓にべたっと貼られた自転車がいう。
「おらおらで西さいぐも。」と軽トラがいう。

地下道に入ると途端にヒンヤリとした空気が体を包む。
そこには「犯罪」と呟きながら壁により沿う張り紙がいた。

地下道をくぐり抜け、一気に太陽の洗礼を受ける。
草花や枝葉は喜んでいるのかも知れないが、私の体がこの気候ついて行けるのかは疑問符だ。

ピンピンころりが理想の菜の花は青空へピンピン伸びる。

ナイキのマークみたいに白線がくねっている。
山形と天童を結ぶ道路が新たに出来た。出羽高擶橋だ。
前言撤回。将来は山形の北イオンと天童のイオンを結ぶ道路となるらしい。

山形市と天童市を仲違いさせる立谷川。
春だからまだまだ水量は多い。
これが夏になったら・・・。

出羽高擶橋からの眺めはいいけれど、熱せられた大気が空をもわっと覆っている。
そのもわっと覆った大気の中で、月山と免許センターが同じ曲線をなだらかに描いている。

出羽高擶橋を越えればいきなりゴミ収集車へ突き当たる。
もとい。T地路となる。
この先が山形市街まで伸びるのはいつのことかはまだ分からない。

真新しい橋の隙間から桜が覗く。

桜に誘われて、出羽高擶橋から降りてグッと花びらへ近づいてみる。
やっぱり花びらは青空に映えっずねぇ。

漆山さくら公園に人影はない。
タイヤは体を土に埋められて固定されながらも、ちらほらと舞う花びらを愛でている。

周りの桜たちから囲まれて、孤独を味わう一本の木。
異様な形で何を語ろうとしているのかが気に掛かる。

磁石に引きつけられるように樹木の真下で樹皮に触れる。
空へ向かい、雄叫びを上げようとしているのか、苦しみもがいているのか。
私のへぼい脳みそでは理解できない。
遙か上空には白く細い糸が伸びていく。

枝により掛かるゴミ看板。
ごみは持ち帰りましょうという、お前が邪魔なんだず。
桜の木はごしゃいでいる。
遊具は事の成り行きをじっと見守るばかり。

青空の中へパキッと咲いた花びらたち。
「誰もいねこめ、春ば楽しまんなねっだな。」

出羽高擶橋ができ、老残は去るのみとばかりに疲れた体を立谷川へ横たえている。
「なして通行止めなのに、その脇で犬の糞を持ち帰ろうって呼びかげでんだ?」
「通行止めなのに、橋の上さ糞ば落としていぐ不埒な者がいるんだが?」

「お前ちっちゃいくせにおっきぐ見えるなぁ。」
立谷川の土手で背伸びをするムスカリたち。

くたびっでピクリともしないスコップたち。
その脇で水仙は人ごとのように澄まして咲いている。

片っぽだけの軍手に猫は興味津々。
その様子を物陰から笑いをこらえて眺めているプラスチックバケツ。

周りは皆芝桜だし、しかも壁にまで芝桜が映りこんでいる。
「孤立無援で大変だな、チューリップ。」
「なにゆてんの、紅一点で気持ちいいばりっだな。」
考えようで前向きにも後ろ向きにもなれるもんだ。

狭い街道だからこそ、「スピード落とせ」が黄色い声で叫ばなければならない。
山交バスはその脇をゆったりと過ぎてゆく。

漆山の狭い街道沿いには、みっしりとあらゆる物がしがみつき、
街道から振り落とされないようにひっつきあっている。

漆山の街道と13号バイパスを繋ぐ跨線橋をてくてく歩く。
もちろんこの車社会で、歩道を歩く者なんて一人もいない。
すぐ脇を車がもわっとした空気を巻き上げて走り去る。
なんだか具合が悪くなり、しゃがみ込む。
歩道の割れ目には、生きたいと希求する雑草が伸びている。

遠く霞城セントラルがぼやけて見える。
携帯した飲み物をグビグビと飲む。
欄干で立ち枯れた草たちが、物欲しげに見つめてくる。

日差しを遮るものは何もない。
最高気温は今年最高を記録した。
汗をかけずに、体内に熱がこもってくる。まさに熱中症の予兆だ。
もわっとした頭に新幹線の金属音が入り込んでくる。

左が西、右が東。月山や葉山が見える。ほぼ中央の奥羽本線は天童方面へ伸びる。

左が東、右が西。やや左寄りに竜山や蔵王の山並みが見える。ほぼ中央の奥羽本線は山形方面へ伸びる。

「洗濯日和て、まさに今日の事っだなねぇ。」
干された洗濯物たちは、太陽の恵みを体中に吸収し、
かつて仕事を干された私は、熱中症ぎみとなり村を彷徨う。

枝から吹き出た若い芽は、もわもわと空中に広がってゆく過程。

「ハナミズキだが?影が地面さ落ぢねで、塀さぶら下がったどれ。」

姫オドリコソウは、それでも生きたいと、パイプの隙間から体をよじって顔を出す。

漆山から立谷川橋を渡って天童の清池へ入る。
散り舞う花びらは、料理へ振りかけるスパイスのように、街の色をより香り立たせる。

「布団は寝でるばりだど思たら、立づごどもあるんだなぁ。」
「今充電すねでいづすんの?」
布団は体中に光を浴びながら、満充電になるのを待っている。
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