◆[山形市]第5回 まるごとマラソン 一歩も走らず高みの見物(2017平成29年10月1日撮影)

なんというマラソン日和。
まるごとマラソンも5回目を迎え、歓迎の青空が広がった。

午前九時になろうとする山形盆地に、霞城セントラルの日時計が影を造る。

霞城セントラルから落合のスポセンを狙う。
号砲を待つ五千人のランナーの息づかいが聞こえてくるようだ。

まだまだ青い霞城の森に囲まれる郷土館へ、秋の日差しが降り注ぐ。

きらやかスタジアムが落合にオープンし、年取った霞城公園の市営球場を忘れていた。
50年近く市民に親しまれての引退だそうだ。
人間だったら50なて、まだまだだぞ。

霞城セントラルの影は、刻々と時を刻んで地べたを這っていく。

新幹線が新庄へ向かってのんびりと滑ってゆく。

東大手門の橋をくぐって走り去る新幹線にも秋の陽は優しい。

午前九時過ぎ、落合のスポセンからスタートした選手たちが、千歳橋をゴワゴワと渡っている。

数分後、すでに昭和橋を先頭集団が渡っている。
ところで昭和橋っていつ完成だ?
歓声にかき消されて、そんな質問も聞こえない?

先導するパトカーが霞城公園の北門へ入ってきた。
いよいよ近づいてきたぞ〜。

スポセンで号砲が鳴って、まだ12分。
早くも霞城公園南門にタイムカーが差し掛かった。

地面を這う影はまだまだ軽やかに付いてくる。

先導パトカーは城南橋をゆっくりと渡る。
「先頭が、ずげ来っじゃあ」

観客は背中に秋の日を浴びながら、お目当ての選手に声援を送っている。

城南町の角を次々と選手たちが駆け抜ける。

ビッグボーイを過ぎれば城南橋。
まだまだ先は長い。

南門へ目を移す。
ゴワゴワと選手たちが現れる。
「ゴワゴワなて失礼だべな。里芋みだいに。」
「ほだごどゆたら里芋さ失礼だべな。」

「なえだて右さ曲がたり、左さ曲がたりで選手だも大変だ。」

城南町を疾駆するランナーたち。
もちろんラーメンの看板など目に入らない。かもしれない。

「おう、大集団が来たぞー!」
「かどこでぶつかてひころぶなよー!」

「南門からショートカットして、城南橋さ来るズル助はいねべな。」
「ほだないるわげないべ。ちぇっと余計なごといわねでちょどしてろ。俺の煩悩。」

ぞろぞろと選手たちが石垣の陰から現れる。
それを石垣の上から、カメラで狙うおじさんがいる。
「ほろげ落ぢんなよ〜」

「見ろまんず。すんばらすい光景だ。」
「みんな山形ば気に入って、そのまま住んでけねがなー」

「前の人の影ば踏むなず〜」

選手の息づかいが秋の日差しに暖められ、
そのまま立ち上って、霞城セントラル23階の自分の位置にまで届きそうだ。

スズラン街へ右折する選手たち。
これからが本番だぞー。

カラフルなウエアが城南橋をひた走る。
反対車線はもちろん車一台通らない。
大都会山形の街中から車が消えた。

「あ、ちょっとだけ車が通っている。なしてだ?」
それはさておき、選手たちは走るごま粒。

日曜の朝、車を閉め出した街中。
排気音は消え、応援の歓声と選手たちの息づかいが日差しとともに街中に充満する。

選手たちの大半が霞城公園を走り去り、文翔館を目指すころ、駅前を眼下にする。
マラソンの興奮がリセットされる。
竜山の柔らかい稜線がやけにまぶしい。

相変わらず駅前は空き地のまんま。そして十字屋は来年で撤退するという。
どうなる駅前。どうする市民たち。
「いっそのこと駅前は一面サクランボ畑にでもすっかはぁ?」
「ほだなあり得ねごどゆうなず、無責任だべ。里芋畑のほうがいいっだず。」

ランナーたちが走り去った後、激闘宣言の大看板が寂しげ。
いやいや、まだまだ今からだモンテディオ。

着々と進む駅西の新県民会館工事。
その遙か向こうには稲刈り前の黄色い田園が広がっている。

「サクランボの色が褪せできたのんねが?」
「言わっでみっどんだがもすんねな」
でも、快晴の中を歩く人々の影は、すんごく濃い。

「やんばいなマラソンだっけなぁ」
「20キロも走るなて、たいしたもんだっだなぁ」
「いやいや、お二人の長い道のりよりはずっと短いのよっす」
影はつかず離れず、ずーっと並んでゆく。

鍵盤の上を歩く。
みんないろんな音を奏でながら生きている。

※これはグーグルアースです。
今回は画面中央の霞城セントラル23階より撮影しました。
一生懸命走る人々を、一歩も走らず楽して撮ったことに弁明の余地はありません。
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