◆[山形市]日本一の芋煮会 台風の来る前に(2017平成29年9月17日撮影) |
「今年も頑張っべーっ!」 台風が山形へ来るのも時間の問題。 早ぐすっべ、早ぐ食うべ。台風が来ないうちに。 |
「あの鍋は今年で最後なんだど。」 「んだら撮っておがんなねっだな。」 食うより撮るが先。 |
今年もいつもの光景が馬見ヶ崎河川敷で繰り広げられる。 このイベントが終わってこそ、本当の秋が山形に訪れる。 今年は台風が訪れるらしいけれど。 |
空には雲が低くかかり、台風の先兵がもう来ているのかもしれない。 |
巨大べにちゃん登場。 里芋の何倍だ?いや、あれは里芋が化けたらしい。 |
「急げぇ、雨降ってくるはぁ」 「皆口開げで待ってだはぁ」 「台風来るはぁ」 あんまり急かすな、鍋がごしゃぐべな。 |
「ほれっぽっちずつ入れでねでぇ」 「ガバガバ入れろぅ」 「山形人の食欲は底なしだがらよぅ」 |
クレーンからできあがった芋煮が鍋に流れ落ちる。 これだけでも凄い量だが、この作業を何百回も繰り返さないと、 山形人を満足させることはできない。 |
人が持だんねほど重たい物ば、山形人はぺろりと平らげてしまう。 |
それぞれの場所から大鍋に注がれる山形人の視線は皆熱い。 |
「おらくたびっでしまたもはぁ」 「ほいにやねで芋煮の匂いだげでも嗅がっしゃい」 |
人々が芋煮に気を取られている頃、 コスモスは鮮やかに咲き乱れ、花びらにはカメムシが密かに待機している。 |
「食だいんだが?撮っだいんだがはっきりしろ」 「どっちもっだな」 |
「台風来るてゆうがらよ、双月橋の下さ隠っでだのっだな」 頭隠して足隠さずっだべ。 |
「今年はサンマが不良なんだど」 「サンマがぐれでしまたのが?」 「不漁なんだず。んだがら金魚でも焼がんなねがどもて心配しったのよう」 |
まだまだ風は強くない。台風の来ぬ間に芋煮会は済みそうだ。 重りはダランと垂れている。 |
もはや名物になった感がある仮設橋。 この橋を渡らないと日本一の芋煮会に来た感じがしない。 |
その先に何があるかも分からないが、 馬見ヶ崎の川を渡らずにいられない山形人。 あの水しぶきを見れば、馬見ヶ崎川がいかに高低差のある場所を流れているか分かる。 |
「しめしめ、四人分ゲット」 「あれ?箸は?」 人間いざとなれば何ででも食いっだな。 |
「まずは牛肉からいったーッ!」 ネギ・里芋・牛肉の何から先に口へ入れるかは山形人を悩ます大切な事。 |
少しばかり太陽が顔を出す。 雲の切れ端から、芋煮会がどんなものか台風も覗いてみたくなったのだろう。 |
あれも食え、これも食えと、乱立する幟がはためいている。 |
「ほっだな、河原さなの降りでったら迷子なんもはぁ」 「んだずねぇ。んだらこごで食うべはぁ」 もちろん持ち込み可なんだずね。 |
ぶずでっかいひまわりが、重すぎる首を持ち上げられず、 つまり、大鍋を見上げることも出来ずに夏を終えようとしている。 |
「タネ取ってける」 「ほだな取ってなにすんの」 「んだて取ってけろて、ひまわりが屈んでだどれ」 |
「ちょっと待って、なしておらだば見でけねの?」 今日ばかりは主人公になれないんだなと、コスモスは諦める。 |
「ちぇっと邪魔なんだず目の前のコスモスよぅ」 鍋を狙っているというのに、目の前のコスモスがゆらゆらと目の前を揺れている。 |
「はーい、みんな揃たぁ?」 コスモスはやっと撮ってもらえることに安堵しながらも緊張して整列している。 |
不穏な風が吹いてきた。 台風が近づいてきたが? 穂の動きがせわしなくなってきたような気もするが、腹が減っていらだっているだけなのかも知れない。 |
「スマホにすっか、芋煮ば食うが、どっちがにすっべ」 今現在、芋煮を食べている人とスマホを見ている人の割合はどっちが多い? |
うなだれるひまわりの、弧を描く茎の間を、芋煮の匂いがすいっと流れてゆく。 |
馬見ヶ崎の河原は、山形人にとって誰にも邪魔されない心を解放できる場所なんだ。 |
太陽が照っている訳でも無いのに、何故かトラックの陰に陣取る。 ま、いっだな。笑顔で会話が弾んでいるようだし。 |
今年も山形人の一員だということを確認できた。日本一の芋煮会ありがどさま。 また来年と心に誓いながら、シャトルバスに乗って会場を後にする。 来年はどだな真新しい大鍋になるんだべな。 |
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