◆[山形市]千歳山のふづり 夏の逃げ足(2017平成29年9月9日撮影) |
ここは千歳山のふづり。 遠く西側から見える団子っ鼻のような形とはちょっと違う。 |
社用車は秋の空気に照らされながら笑顔を絶やさない。 いったいどこから湧き出てくるのだろう、至る処で蜘蛛が餌を待つ。 |
千歳稲荷神社の入り口に立つ。 千歳山の北西に位置するために、日中はほぼ日陰。 |
空気は明らかに秋。ムッとするような熱気もなく、もちろん湿気もない。 |
「おらださ陽が当だたごどて無いずね」 「ほいなごどやねで」 「自分の置がっだ場所で咲がんなねっだな」 昔はどこかで華々しくベンチとして活躍していたのかもしれない。 今は誰が座ることもないが、自分たちが千歳山の懐にじーっと座っている。 |
頭の上を緑が覆う。 一瞬、初夏の青葉若葉と勘違いするほど緑が柔らかい。 |
「こごば登らんなねのが・・・」 ため息をつき、あの山寺の千段を超える石段に比べれば鼻くそだべと思い出す。 「鼻くそて、なんだ!」と神社からごしゃがれる気はするが。 |
木漏れ日が揺れる中、狐さんは微笑を絶やさない。 |
ハタハタ、ハタハタと舞い、秋の訪れを告げている。 |
神社の社務所なのだろうか? 人の気配はなく、窓にカーテンも無いものだから、 秋の空が窓を通して透けて見える。 |
「ごめんなさい。落ちていたものだから」 イガイガに言い分けして、チクチクを指先に感じながらちょっと移動して撮ってみる。 |
次から次へと人々は訪れる。 神社という存在は人を集める集客能力がある。 しかもここは市民の憩いの場として君臨する千歳山。 人の訪れないはずがない。 |
「なんだて赤い文字が目さまつぽいごどぉ」 熊出没の幟に見入る狐さん。 |
「僕さもたづがせでぇ」 「んだら一緒にたづいでが」 おそらく意味合いは同じようなことを言っていると想像する。 でも『たづぐ』は死語だがもすんねなぁ。 いまだに山形弁にたづいでいる自分は、時代に後れを取っている? |
千歳山の麓を回り込むように歩く。 今の季節はまだ陽が高いからいいけれど、 冬は陽が差すんだろうかと心配になる千歳山の北西側。 |
まぶしくて、ふと見上げる。 秋の太陽をまともに受け止めながら街路灯の頭が光っている。 |
くねくねとフラダンスの練習かヤマゴボウ。 |
穂先を見れば、まだまだ光はトゲトゲしい。 本格的な秋はまだ先か。 |
ススキの穂は車体のリアウインドウへ張り付いて、 個々が思いのままに太陽へ手招きしている。 |
なだらかに下る坂の一直線が美しい。 でもその先は松山交差点のコンクリ壁面に突き当たる。 |
光と草花が複雑に入り乱れ、まだら模様のオンパレードか。 |
まだまだ日差しはきついぞーっと言い残して、 夏は逃げるように走り去る。 |
「おまえはしつこい汚れが!」 なんぼ洗剤で洗っても落ちない汚れのように、チェーンは堅く巻き付いて、 ギシギシと錆び付いていく。 |
トンボがあちこちを舞う。 そのうちの一匹が、ふと先っぽに止まった。 ここは千歳山の麓というか、千歳山の一部「千歳山公園」。 |
「なんだが街中で走てる人増えだど思わね?」 これは市民みんなが感じていることだろう。 んだて、間もなく一大イベントまるごとマラソンだがらねぇ。 |
さすがにのどの渇きを潤したくなる。 蛇口からはうねうねと水がほとばしり、当然足元、つまりズックとズボンはズダズダに濡れる。 |
枝先が霞城セントラルと擦ろうとする頃、 いわゆる、どこが山形の第一公園なんだ論争を思い出す。 第二公園が駅前に蒸気機関車とともに存在しているのは誰でも知っている。 ここ、千歳山公園が第一だという説もあれば、千歳公園が第一だという説もある。 そして、千歳山そのものが第一だという説もある。 |
「おまえは熊よけのために居るんだが?」 「何のことか分かライオン」 ライオンはにべもない。 |
サルスベリは未だに艶々と、我が世を謳歌する。 |
「すっかり乾いではぁ」 指で触れると、カシャッと音を立てて潰れそうだ。 |
千歳山が毎日見下ろしている松山交差点(松山インター)。 千歳山を見ずにこの交差点を通るのは不可能。 |
日傘を差してまで雑草むしり。 「とにかく夏の間に、雑草はやんだぐなるほどおがたもなぁ。」 |
♪雲は湧き、光溢れて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ これは「栄冠は君に輝く」だが、 ♪蜘蛛は湧き 餌も溢れて 天高く真っ黒な蜘蛛 今日も待つ これが秋口のどこにでもある光景。 |
TOP |