◆[山形市]千歳橋・市スポセン 宵闇の雷鳴(2017平成29年8月19日撮影) |
寒河江・中山の方から馬見ヶ崎を伝って、遠くくぐもって雷鳴が聞こえてくる。 |
一個だけ灯っていないが、千歳橋の疑似ガス灯が浮かび上がる。 空は重くどんよりとして、今にもどこかが破けて、その綻びから雨が落ちてきそう。 |
冷たい風が路面を吹き抜けていく。 ひまわりの葉っぱは風に翻弄され、ブハラブハラと揺れている。 |
土曜日の夜は、空気にけだるさと高揚感が混在している。 家路を急ぐ者、夜の町へ出かける者のヘッドライトが、アスファルトを舐めるように滑ってゆく。 |
「いっつも通るげんと、さっぱり見ねっけ。こだい立派なんだっけなぁ」 「ライオンが輪っか咥えっだじぇ。」 「んでも灯りのどごは、蜘蛛の巣だらけだじぇ」 その脇をヘッドライトは無関心に次々と走り去る。 |
馬見ヶ崎の上流のその先は雲が垂れ下がっている。 わずかに雲の隙間が見えるのは笹谷峠だろうか。 九小の体育館には灯りが灯り、おそらく若々しい声が響いているのだろう。 |
「ああ、んだっけ。そういえばそろそろまるごとマラソンなんだずねぇ」 「なんだが町の中さランナーが増えだと思たっけま」 なんだかんだ言いつつも、まるごとマラソンは山形市民に定着してきているのかもしれない。 |
音に気づいて振り向けばあっという間。 馬見ヶ崎の鉄橋など、ものの数秒で走り去り新庄へ向かう。 |
雲が禍々しく黒ずみ、これからの天候を予感する。 |
スポーツセンターのテニスコートからは、明かりに混じってボールの軽い音がポンポーンと弾けてくる。 |
お披露目間近の市球場は、遠くの雷鳴を聞きながら闇の中にうずくまっている。 |
いきなり降り出した夜の雨。 もちろんテニスコートの人々は、避難を余儀なくされる。 |
体育館からは硬質な明かりが放たれる。 遠くの雷鳴は相変わらずくぐもって聞こえてくる。 誰の自転車か、サドルには雨粒が浮き出し始めている。 |
夜の雷は時折、辺りを真っ白にして人々の目をくらます。 体育館前の路面には雨粒が叩き付けられている。 |
金属にヘアラインの装飾を施したように、雨の筋が夜空を染める。 |
「霞城公園の市球場はどうなるんだべなぁ?」 そんな思いを打ち砕くように、空を一閃する雷。 その度に球場が一瞬浮かび上がっては、また夜の闇に再び沈む。 |
もはや撮影どころではない。 車に戻り、窓ガラスに付着した滴のツブツブ越しに、 テニスコートのライトが滲むのをボーッと眺める。 |
撮影の満足感も得られぬまま灯りを求めてコンビニへ。 |
あまりの雨脚の強さに、車のドアを開けるのも躊躇われる。 |
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