◆[山形市]小荷駄町 子安堂・山商跡地のしずくたち(2017平成29年5月13日撮影)
今回は今までと全く趣の違った光景に挑戦しました。
理由は雨降りだったからです。
また、そのうち従来の撮影方法に戻ります。

車を降りて気づいた。
「どごからふっついできたんだが、ボンネットさ葉っぱ乗ってだりゃ」

街は静かに雨に濡れている。
時たま車がバシャッと水しぶきを上げていくけれど。

なんだか真新しい箒が、退屈そうにうじうじしている雨の一日。

ゴミ収集篭の屋根では、朽ちた花びらが雨水にまとわりつかれている。

ギッコンバッタンの下にぶら下がった滴(しずく)は、郵便配達のバイクの音に震えている。

子供の手のひらが恋しいと、滴にまとわりつかれているギッコンバッタン。

「すっかりオラホの時代は過ぎ去ったもはぁ」
桜の花びらの軸が濡れそぼる。

オダマキの花びらが、角突き合わせてなにやらヒソヒソ相談をしている。

「落ちるぅ〜」
引力と水滴の綱引きは続く。

「よっくど見っど、ちゃっこな滴の中さも別世界が入ったどれ」

手作り感満載。

はち切れんばかりに膨らんだシャクヤクの蕾にも滴。

雨粒ずぁ、どさでもくっつぐ習性があるし、すぐ玉ころになる団結力も兼ね備えている。

ルピナスも雨の洗礼を浴び、シャワーを浴びた後のようにすっきり感がある。

山商跡地は小荷駄町公園と名称を変えた。
山商はその後あかねヶ丘に移転したが、その山商がまたまた新築するんだと。
ここにあった山商を卒業した人はすでに六十代。

「なんて格好しったんだず」
「雨降ってなにもかもやんだぐなたはぁ」
カッパの癖して雨降ってやんだぐなたもないもんだ。

遊具の裏側には滴が整然と並んで、膨らんだ順で落ちていく。

「もうだめだぁ」
「ほだごどやねで頑張れ」
「いいはぁ、手離してけろ」
「元気でなぁ」
葉先と滴の会話が終わった途端、滴は落ちていった。

ちっちゃなシロツメクサの葉っぱにも、滴は群がる。

エイリアンじゃない。
未だに子供のソメイヨシノの葉っぱ。

「滴の玉ころば花びらが集まて胴上げでもしったのが?」

飛び損ねたタンポポのタネは、滴を抱えながら飛ぼうかどうか逡巡しているようだ。
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