◆[山形市]銅町・桧町 濡れる街角(2016平成28年7月17日撮影)

重く垂れ込めた雲が、コンビニ駐車場の水面にも映り込む。

じっとりとまとわりつく湿気は街を覆い、
雨は壁伝いにシミを広げてゆく。

鮮やかな看板とその背後にある蔵の窓。

前にも紹介したけれど、見逃している方のために再度掲載。

「雨の日は休んだらいいんねがよ〜」
そんなことはお構いなしに、空中に漂ってひたすら水を排出し続ける。

鉄棒を握るいつもの小さな手はない。
鉄棒にまとわりつくのは水滴だけの静かな公園。

水滴の一個一個に周りの光景が浮かんでいる。
雨の日はしょうが無い。水滴と友達になるしかない赤いブランコ。

ジーっと公園内を見守る立葵にも水滴がへばりついている。

限りなく高い湿度で覆われた公園。
ちょっと空気をかき回せば、その均衡が崩れてあっという間に雨になりそうだ。

「なにゆだいのや?」
ヌッと顔を現したのに、何を言いたいのか分からない看板。

低く垂れ込めた雲は盃山のすぐ真上まで迫っている。

野球用のネットを支えるチェーンに絡みつくビニール紐。
雨に濡れ、誰もいない河原で退屈を噛み殺す。

対岸の泉町も、じっと小雨の空の下に沈んでいる。

堤防沿いの道路を赤い車が走り去る。
道端の雑草には目もくれずに。

「なんだてブツブツだずねぇ」
ビッカビカに磨かれた車の屋根に水滴が浮く。

「フレッシュってなんだぁ?」
物憂げに湿った木箱とバケツが問う。

ちっちゃくなっちゃった山交のバス停。
その向こうは二口橋に続く上り坂。

「なんだが、こいな雰囲気好ぎだずねぇ」
壁を緑が覆い、小さな空間には小さなテーブルと椅子。
その周りには分別されたゴミ。

雨に濡れた緑は濃さを増し、飛び出し坊やも雨に洗われて生き返る。

問題です。
この写真は何かが変です。何が変なのか分かりますか?
答え:写真が逆さまなんですよ〜。
水たまりがあるからできるいたずらです。

黒々と静まり返る両所宮。
看板は居づらそうにして控えめに何かを訴えている。

「なにが困ったのが?眉間さ縦皺でっだじぇ」
「雨降っど勝手に出んのよ」
セメント遊具はまゆを下げながら応えてくれる。

ギッコンバッタンの持ち手と戯れているのは水滴だけ。

「いづなたら自転車が消えるんだが・・・」
バカタレ高校生が乗り捨てていったんだべなぁ。
でも考えようによっては、自転車がゆっくり休めるリゾート地といえなくもない?

空からの雨に逆らうように、両所宮の噴水は力強く水を吹き上げる。

「粋な後ろ姿だずねぇ」
帽子をかぶせたのは罰当たりな行為なのか、灯籠を暑さや雨から守ろうという善意なのか。

雨で湿ったジュグジュグの落ち込んだ状態から、爽やかな湿度に心の中が変わるのを感じる。
人間って、周りの光景で気分があっという間に変わるもの。

手水舎の水がジュルジュルと流れ続ける。
空気の止まった静かな境内で、そこだけが微かにいつまでも終わりなく動いている。

コンコンと湧き出る水を口につけて、時たま訪れる観光客が去ってゆく。
「柄杓さ歯型なの付いでいねべな」

「サルスベリンも咲いだどこりゃあ」
水滴を振り払いもせず、梅雨明けを待っている。

もちろん雨の日は子どもたちの歓声が聞こえない。
遊具たちは思わず与えられた静かな時間を利用して我を振り返っている。

「こだな小路も五中生にとっては通り慣れだ道っだなね」
銅町には以外な昭和の小路が残っていたりする。

静かにオレンジ大群がブツブツといつまでもつぶやきながら命令を下す。
なんだか怖くなり、自転車を降りざるおえない。

オレンジ色のウインカーは道路の向こうへ走り去る。
オレンジ色に水滴をまぶしたノウゼンカズラは、それを見送り、
灰色の空へ首を向ける。

梅雨に似合う花という固定観念の呪縛から逃れたいと思ってもそうはいかない。
あじさいは硬いフェンスから抜け出ようとしても、その固定観念の網から抜け出せない。
一度決まったイメージはそうそう覆せるものではないと思い知る。
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