◆[山形市・上山市]みはらしの丘・隔間場大沼・小沼 熱波が来たりて汗をふく(2016平成28年6月11日撮影)

たしかに目の前にひろがる光景を見れば「みはらしの丘」というネーミングに納得する。
竜山も蔵王もペロッと見えるんだから。

コストコから山形市街地方面を見る。
山形盆地が遥か遠くで、夏の靄に霞んでいる。

上山方面に目を転じる。
三吉山に向かって道路が伸び、濃い緑の中へ車が吸い込まれてゆく。

パノラマモードで撮っても、この広さは撮りきれない。
雄大な山形の光景を楽しむだけでもコストコに来る意味があった。

ごっつい鉄骨がコストコの強大な海外資本の販売力を表現しているようだ。
山形に本当に馴染むかどうかは今後の展開次第だべ。

「広いコストコで買い物なて、楽しみだずねぇ。」
「ステテコ?夏だもの履ぐっだな」
咬み合わない会話にストップをかける床の文字。

みはらしの丘の丘陵地帯の向こうには、未だに白い雪を被った月山が輝いている。

「なんだべ?光る蝶がキラキラ並んで舞っている。」
よくよく近づいてみると、それは真下にある排気ダクトに夏の太陽が反射して壁に模様を作っているのだった。
おそらくここまで計算して設計したとは思えない。
真夏は思いがけない光の模様で目を楽しませてくれる。

「コストコの壁面ば見でみろ」
「どご、こすっどごや?」
「こすっどごんねくてコストコだず」
夏の光のせいでダクトの影は伸びるだけ伸びて壁面をこすっている。

すぐ近くの広場に行ってみる。
最近出来たらしいスケボー広場には、一心不乱に汗を流す若者がいた。

影と体が離れる瞬間。
この一瞬の浮遊感が楽しいのかも知れない。

ギラギラの太陽を遮るものは何もない。
そして今日の気温は31.1度。
それでもスケボーの魅力に取り憑かれた若者は、コンクリートの熱を体で楽しんでいる。

正直スケボーをする若者には偏見を持っていた。
そしてその偏見はあっという間に打ち砕かれた。
「迷惑かげねようにルールば守らんなねんだっす」
「練習している子供だの邪魔ならねようにして撮ってけろっす」
「板が飛んでくっどぎがあっから、一般の人が柵の中さ入んのはNGだっす」
額の汗を輝かせながら語ってくれた。
注:この若者は山形弁で話していません。私が山形弁に翻訳しています。

すり鉢状のコンクリ面に沿って、反った影が伸びている真夏のお昼。

滑走する音に、なんだべと興味を引くのは人間だけじゃなかった。

だだっ広い広場を横切って行く小さな自転車。
その向こうからはゲートボールを楽しむ音がのどかに流れてくる。

「いやまんず、こだな暑いどぎはオレさ座てける人もいねもな」
椅子は体を熱したままジーっとスケボーの若者を凝視する。

鳥が今まさに山形盆地へ羽ばたこうとしているようじゃないか。
「山形盆地が遠がぐまで丸見えだどれ」
「いづのこめ出来だんだが」
とにかくあの鳥の羽の下へ、影を求めて入り込む。

このところの雨不足でツツジも疲れ気味だが、
その向こうに広がる街並みとのコラボはなかなかのもの。

振り返ればそこにはみはらしの丘小学校。
なにかの催し物があるのだろう。グランドから子どもたちの歓声が翼の下にも入り込んでくる。

あんまりギラギラ太陽が力強いものだから、
幾筋もの影を地面に向かって勢い良く伸ばしているビヨウヤナギ。

みはらしの丘から車で数分。
一気に静寂が訪れる隔間場の大池。

風も止み、湖面は鏡のようにまっ平ら。
葉っぱたちは強烈な日差しを事も無げに受け止めている。

向こう岸も水面も緑の濃淡だらけ。
絵に描くなら、緑色の絵の具だけが異常に減る。

ぽっかり浮いた雲が水面に立ち寄って波紋と戯れる。
なんと詩的な表現をしてみたが、実際のところ暑くて頭がのぼせそう。

今度は隔間場の小池に来てみた。
やはり静寂が湖面を覆い、立ち寄る人もない。
あの山の陰が賑わっているみはらしの丘とは思えない。

赤と緑と青の世界。
お、そのまま光の三原色の共演じゃないか。

何かに引っ張られるように、空へ向かってゆらゆらと伸びてゆくケシの花。

光は筋を浮き上がらせたり、茎の産毛を光らせたりして、葉っぱと戯れる。

池の畔の何げない葉っぱたち。
よくよく見れば、土と太陽と水から力をもらってムクムクと育っているのがはっきり分かる。
初夏とはなんとも前向きに力強く前進する季節なんだろう。
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