◆[山形市]七ツ松 富神山の背面へ(2015平成27年10月21日撮影) |
富神山のヘアピンカーブを走ってしばらくすると七ツ松の集落に着く。 すでに富神山の裏側は秋真っ盛りのようだ。 |
9時10分を差している壁掛け時計。 よく見たら止まっていた。その時間に何があったのだろう? |
内容よりも、ヘタウマな書体が気に入った。 といか、これはザリガニの宝庫だと宣伝してるようなもの? |
「ドラム缶が頼もしぐ見えっずねぇ」 コスモスがドラム缶に寄りかかる秋の七ツ松。 |
「おいおい、ほだい近づぐなずぅ。ピント合わねどれぇ」 花びらの落ちたコスモスは退屈しのぎにレンズへグイッと寄ってくる。 |
「なんだがふさわしぐないんだげんと・・・」 きっと県民の森に行く人々がここでボタンを押すのだろう。 |
「落ぢる〜」 「落ぢんな〜」 廃車は落ちる恐怖に怯えている。タイヤはボンネットで必死に押さえ込んでいる。 村は何事もないように秋の陽を浴びている。 |
なんとか時刻表のマス目に時刻をいっぱい増やしてあげたい。 ふと小屋の中を見ると、スノーダンプがひっそりぶら下がっている。 |
どこを撮ろうにも必ず柿がしゃしゃり出る季節。 |
どうだと言わんばかりに、秋は両手を広げて村中に充満する。 |
木立の間から漏れる陽も黄色みを帯びる秋。 |
突然子ども見守り隊の軽トラックが入り込んできた。 さすがに私は子供には見えないらしく、中から出てきたおじさんは私を無視してどこかへ子供を捜しにいった。 |
一夏の出来事を体中に刻みつけて、葉っぱは今舞い落ちようとしている。 |
地域が守り続ける地蔵尊。 地蔵の前に新鮮な花の絶えることがない。 |
菊は大輪の花を咲かせ、辺りに気品を漂わせている。 狸は自分の独壇場のはずの場所なのにと顔をしかめる。 |
「山さ帰たらいいんねがよ」 「オレはこごの門番なのよ」 狸は硬い体をピクリとも動かさない。 |
「そういえば家さもコンコン車のチラシが来たっけなぁ」 秋の日を全身に浴びて、灯油缶はこれからの激務に武者震いする。 |
この通りがいわゆる七ツ松の銀座通りなのだろう。 人はいないが秋の賑やかさを感じるし。 |
「椅子でも引っ張り出して、日向ぼっこが最高だべなぁ」 街中ではとてもこんなゆったり感は味わえない。 |
光線は葉っぱを透かして、辺りを真っ赤に染め上げる。 |
貴重な薪を守るために組織されたトタンとタイヤの連合体。 くたびれたタイヤやトタンを慰めるために、落ち葉が被さって慰める。 |
この光のわだかまりを微に入り細に入り表現するには、現代のカメラは力足らず。 |
「随分かわいいキングギドラだな」 「なんだキングギドラて?」 そうか、あんな何十年も昔の怪獣を、この花たちは知る由もない。 |
蓮の池? 辺りには秋の陽が溢れているのに、みんな力尽き水面に顔を突っ込んでいる。 |
自分たちにも旬の頃があったんだ。なんて言い分けはせず、茎を折り曲げてじっと冬を待つ。 |
「気ぃつけでけろなっす」 「そっちこそ熊さ気ぃつけろなぁ」 |
「なんぼ七ツ松では植物が元気いいったて、ドラム缶の中から生えでくっどはなぁ」 |
背中に柔らかい陽を受けながら、あの小径を向こうへゆっくりと歩いてみたい。 |
犬のフンの看板も、名所旧跡を紹介する看板も一緒に並ぶ。 「味噌糞いっしょだべぇ」いや表現が悪かった。 味噌も糞も仲良く並んで秋を満喫している。 |
分かってもらえるだろうか。はるか遠くに山形の市街地がちょぼっと見える。 そんな一等地に柿が堂々とぶら下がる。 |
近づいてみると圧倒的な存在感。 空から朱色のぼた餅がボダボダ降ってくるようだ。 |
彼方には村山盆地が青く霞んでいる。 七ツ松は一足先に冬を待ち構えている。 |
突然ススキが秋風に吹かれて顔を撫でてきた。 間近で見るススキはタネを守る繊細な産毛の集合体だった。 |
「そろそろ帰っかぁ。あれ、いづのこめがオレの車さ青空と紅葉が張りついっだじゃあ」 張りついた秋を剥がそうとせず、私は帰途につく。 |
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