◆[山形市]双葉町・馬まつり 天高く馬大車輪(2015平成27年9月27日撮影)

今年は秋の声が早まったと思っていたら、ピラカンサはとうに真っ赤になっていた。

休日の自転車置き場。
ポツンと残された自転車は、桜の木の下でどうしていいか分からないでいる。

母校三中の後輩が植えたのか、フェンスからはみ出さんばかりの勢い。
オレも中学生の頃は勢いがあり余って、何したらいいがわがんね状態だっけなぁ。

ぽろんぽろんと音が流れてきそうな洒落た店。
「あれ?よっくどみだら弦張っていねどれ」

「こっだな写真みっだぐないずぅ」
「ま、そう言わねで。カメムシの発生具合で今年の雪の量がわがっべ?」
ちなみに、この枝には他にもゴワゴワたがってだっけ。

ツンツンと背伸びするコスモスたち。
「何がいいくて、ほだい細こい体で空ば目指すんだ?」

双葉公園の周りを見渡せば、家並みやビルだらけ。
でも、よっくど目を凝らして公園内を見れば、秋がどっかりと山形に腰を据えたことがわかる。

「来るたんびに撮っていねが?この滑り台」
「他の人には申し訳ないげんと、思い出深いのよね。40年以上前からこの形て凄いど思わね?」

「ありゃ、逃げらっだ。別に悪意はないんだげんとね」
カメラを構えると、子供たちも構える。このご時世だがらしょうがない。

双葉公園の滑り台の下へ腰をかがめて入り込む。
青空に突き出る霞城セントラルが見える。
オレが中学生の頃は東洋ソーダの壁と臭いしかなかった。

横断歩道で前を行く親子。
感嘆してしまった。んだて、ちゃんと手を挙げ、右見て左見てとかハキハキしゃべりながら渡ってるんだも。
かといって、おじさんも同じ事をやったら、それこそ不審者扱い。
ハキハキした子供とハキハキしたおじさんの違いはなんだ?

「新幹線見えっば」
「いいがら前見で歩げ」
こんな幅広い道路に山形市民は慣れていない。

テルサの案内板に人が張りついてなにやら見入っている。
テルサの看板にぐんにゃりと周りの光景が張りついている。

「ペットばしぇでくんなて書がねど、山形人は意味が分がらねんねべが?」

今日の快晴に気をよくして大空を舞う枝葉たち。

「馬まつりが毎年あるなて、しゃねっけぇ」
駅西は単なる空き地なのに、すっかりイベント広場として定着してしまった。

「ほっだな細こいニンジンだめだヒヒン」
と言っているのか、感情を探ろうと目をじっと見つめたが分からなかった。

「ホレホレ、前から右から左から一緒に手出さっだて、対応でぎねっだずヒヒン」
馬はけっしてお釈迦様じゃない。

「もっと旨そうに食てみろ!」
聞いているのかいないのか、何を言われても馬の耳に念仏。

「イベントスタッフも大変だど思うげんとよぅ、あど何周さんなねんだずヒヒン」
秋突入なのに、暑いし、子供たちを運ばなければならないしぃ。
でも子供が喜ぶならしょうがないべと、馬もほどほどに頑張って欲しい。

車輪の下に影が張りつき、馬の歩みにノロノロと付いていく。

駅に馬車。駅馬車?
そんな名画もあったけれど、あれは100年以上前のアリゾナ。これは現代の山形。

「山形って日本一が好きだずねぇ。んだてこの間日本一のいも煮会終わたばっかりだじぇ」
「ついでに言えば、山形は醤油消費量も日本一だぞぅ」

「ああ、撫でらっで気持ぢいいヒヒン」
ポニーは人の情を感じ、目をつぶっている。

「ウサギだおかながってだどれ」
「なんぼ子供ったて、ウサギよりはでかいしなぁ」

「おんちゃんばりちゃんとした網で、なして私のはすぐ破れるやつなんだぁ?」
金魚に興味津々だが、ルールをまだわからない子供たち。

目は一点に集中し、なんとかすくい上げようとする。そしてあえなく失敗。
子供は小さな事で挫折を覚え、そして成長していくもの。

「ほれ、めんごだがらけるっだな」
節くれ立った手が金魚を渡す。
思わずいただいた金魚を手に、子供の顔がほころび、おじちゃんとアイコンタクト。

手にした金魚を霞城セントラルより高くかざし、誇らしげにニッと微笑む。

「あいや凄いごどぉ!」
「ほんてん山形て、でかい事が好ぎなんだずねぇ」

周りじゅうで励ますけれど、子供の耳には入らない。
「なしてこだいおっかないごどさんなねんだずぅ」
子供の心を代弁してみました。

「ちゃんと後片付けさんなねがらな」
「敷いだシートがそのまま図鑑みだいだどれ。いいのもったな」

馬が尻尾を振っている。それが馬の機嫌と関わっているかは分からない。
ただハッキリいえるのは、馬上の子供たちは上機嫌だということ。
やっぱり動物とのふれあいは、人間にとってプラスなのかもしれないな。
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