◆[山形市]宝光院・六椹八幡神社・光禅寺 虫たちの夏(2015平成27年8月1日撮影)

宝光院の門から外をうかがう、鮮やかなサルスベリ。

「二人で逃げっべはぁ」
「何から?」
「暑さから」
自転車もこんなときは、タイヤが火傷しそうなので走りたくない。

「ほっだな涼しそうな顔して、暑ぐないのが?」
「暑い暑いなてゆてるうぢにお盆過ぎで涼しぐなるもんだぁ」
涼しくなれば自分たちが散ることを、頭の片隅に感じながら咲くキキョウ。

「子供の頃、何遍この足跡さ乗ったもんだが」
貴重な石とも知らずに、ただの扁平足とさげすんでいたあの頃。

どうみても白いキクラゲ。
もしかして食感も同じなんだろうか?でも、噛んでみる勇気がでないサルスベリ。

猿も滑って落ちるサルスベリ。
それでもよく見れば、アリたちは行列作って樹皮を上り下りしていた。

この蝉は洒落者だな。
普通の蝉は木に登りそこで脱皮する。
こいつはきっと目立ちたがり屋。記念に目立つ場所を選んだんだろう。

自分の形を残しておく。
たった一週間の命だもの、殻だけはいつまでも残しておきたいのだろう。

「今後のごどだげんともよ」
「あんまり土の中さばりいっど退屈だし、少し早ぐ地上さ出るごどにすねが?」
「んだ、んだ」
蝉たちは顔つき合わせ、今後のことを論議する。

「サルスベリは今年も綺麗に咲いだもんだなぁ」
「今年もって、オマエ見だどぎあんのが?」
「あ、いや夢で・・・」
「確かに寝でる時間が長すぎんもなぁ」

「ほれ手抜ぐな」
「もっと力いっぱい引っ張れぇ」
「綱引きはチームワークなんだがら」
「柄杓ば引っ張んのも楽んね」

「くたびっで体はもう抜け殻だはぁ」
「オマエもが、オレもだぁ」

「八葉町内会ってなんだ?」
「こごは八日町、そして隣は若葉町だがらが?」
「オレがかわいい子供の頃は、鉄砲町八区ていわっでだっけ」
八葉町内会となって何年か知らないが、オレより若いのにこの錆具合はなんだ。
オレの脳みそより錆付いてはいないか。

うねうね伸びる塀は、子供の頃からあったような気がする。
よくいままで保ったと感心する。
何しろ半世紀前だからね。

たんなる六椹八幡様の地面じゃない。
この範囲だけで穴ポコは何個あるでしょう?
オレは少なくとも10個以上は見つけた。
こんな穴ポコが八幡様の境内一面に広がっている。
蝉の声が喧しいのも頷ける。

ケヤキの樹皮が反り返る。
蝉は一日でも一時間でも早く飛びたいと願い、どんなところへでもすがりついて脱皮する。

いつもより耳鳴りが激しいと思ったら、
誰もいない境内で蝉が短い一生を激しく鳴いて過ごしている。

力尽きた蝉は地面に還る。
秋風が吹けば、カラカラに乾いてちりちりになって、人知れず。

「なんだず、この梁のすり減り具合はよぅ」
鐘撞堂へ登ってみた。
あまりの柱のすり減り具合に唖然とした。
昔から何百、いや何千という子供たちが登ってはぶら下がったりした結果だ。
おそらくオレも数ミリは荷担している。

誰もいない。当然だ36度だもの。
緑の濃淡の中にいると、目の前に子供の頃の自分が現れて、鉄棒にぶら下がって遊んでいる姿が見えてくる。

木陰の色がやけに濃い。よほど太陽が強烈なんだろう。
子供の頃の自分が見えたりして、ちょっと危ない。冷やしたペットボトルのお茶でも飲むか。

見下ろしてくる巨人二人。
低音の響きで声を掛けてくるようだ。

夏休みが始まったはずなのに子供も鳩もいないってどういうことだ。
昔なら子供の五人や十人は必ずいたはず。
あ、まずい。「昔は良かった病」に罹ってしまう。

あのサルノコシカケはどうなったかと、3メートルほど上を見上げてみる。
猿が腰掛けずに蝉の抜け殻がへばりついている。

ググッと寄ってみた。
下から見ているから、これはサルノコシカケの裏側。
もしかして表側にはうじゃうじゃ抜け殻があるのかも知れない。

虫探しに光禅寺まで足を伸ばした。
門柱を見よ!
斑の影がヒョウ柄より強烈だ。背景の街並みはしらっ茶けて干からびている。

蜘蛛も花びらも暑さというものを何とも思わないのか。
それとも人間だけが暑さに異常に弱いのか。

よく街角で見掛ける正当派サルスベリ。
放熱するために、花びらがクチュクチュしているのか?

住職さんは維持管理が大変。
でも表現を変えないと、人は抜け道を見つける。
「犬は三歩進んで四歩下がってください」「自転車は持ちながらなら進入可」ならどうだろう。

水ってなんと弾力のある液体なんだ。

昔、東京で学生の頃、二子玉川駅をニコタマといった。
ホオズキのような葉っぱが落ちていたので拾って開いてみたらニコタマ。
この玉はなんという正式名称なんだろう。

やっぱりこっちにもいた。
神社とお寺さんの違いはあれ、つまり宗教の違いはあれ蝉には関係ない。

「どれそろそろお昼だんねがぁ」
ふと腕時計を見ると、あっという間に蝉が脱皮して飛び去っていた。
油断も隙もあったもんじゃない。

光禅寺裏側の日本庭園へ足を運ぶ。
庭園の水は涸れ、トンボが幻の水面を見つめている。
気になって中央高との境の笹堰へも行ってみた。乾いた堰の底にゴミが溜まっていた。
もちろん梅花藻(バイカモ:綺麗な堰に咲く可憐な白い花)など見られるはずもない。

トンボは垂直に倒立しても頭に血が上らないらしい。
それにしても素晴らしい痩身。
トンボにダイエットなどという言葉はないに違いない。

光禅寺の石橋を叩かずにそーっと渡る。
大切な儀式を食い入るように見つめてしまった。
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