◆[山形市]十日町・八日町 あぢやま桜と第二公園(2015平成27年4月4日撮影)

毎年何故か来てしまうこの場所。
昔ならガスタンクが真正面に見えていたし、山交バスが何十台も並んでいるのが見えた。

竜山を隠すように、ビルがどんどん高くなっていく。
あれ?二小の体育館も山形学院高の校舎もいつのまにやら新しくなったんだな。

犬も立ち上がる好天。
白いアスファルト上に犬の声が反射し、人々の影が蠢く。

「早くて日傘がぁ」
確かに日差しは強大になり、この間までの密やかさとは別人だ。

壁にへばりつく室外機やダクトを引きはがそうと、日差しは一層強く降り注ぐ。

空はパキッと青く塗られ、日の当たる場所はそのものの色をより強く際立たせている。

無味乾燥な地面に椿の花びらが模様を敷く。
たったそれだけで季節の移り変わりが伝わってくる。

「春だもの土ばいじらねでいらんねっだなぁ」
雪の覆っている時間が長いほど、現れた土には愛着が湧き、触れずにはいられない。

屋根の畝が光を通して壁や地面に落ち、ギザギザ模様がより鋭角的になる。

針穴に糸を通すように、狭い隙間を白線がゆっくりと北上する。

「誰かがチラチラ見でっどもたら紫陽花がぁ」
新たな春に恥ずかしげに、ひょこひょこと辺りをうかがう。

私は見た!山形一早く咲く「あぢやま桜」を目の前で!
まさに春に体中が突入した気分。

完璧な青空に完璧な満開。味のある建物。
整備された観光地より、どれほど味わいのあることか!

昭和三十年代、スーパーの走りの「だいまる」という集合商店があった。
近所のお母さんたちはみんな買い物篭を片手にそこに集まった。もの凄い賑わいだった。
私は入り口で売っていた揚げたてのコロッケ5円を買って貰いご満悦だった。
あの頃は、すぐそばの「あぢやま桜」の花よりコロッケだったんだなぁ。

車の窓からみんな桜を愛でていく。
「え?不審者が桜の下でうろうろしったがら見でいぐんだて?」
そういえば、さっき二小の前で警察のお兄さんから声を掛けられたばかり。
「ほだい人相悪れんだべが?」

桜は愛でても、洗濯ばさみを愛でる人はいない。
「ほだなごどないよ。竿の湾曲具合どが、洗濯ばさみの並び具合なんか結構芸術だどれ」

家並みの隙間に吸い寄せられるように入り込む。
この辺は間口が狭く、奥行きのある敷地が続く。
その敷地が歯抜けのように更地になり、そしていつの間にかマンションになっている。

「一年ぶりに見る花びらだもの、いづまでも見でっだいっだなぁ」

チューチューと音が聞こえてきそうなほどに、口をすぼめてこちらに向かってくる。
けっして悪い気はしないけど。

なんぼビルが建っても、陰になっても咲き続けるぞー。
そんな硬い意思を感じさせる咲き方だな。

地面のすぐ近くにうつむき加減で咲いている花。
恥ずかしがらずに顔を見せてくれと、地面に這いつくばって下から狙う。

マンションと雨樋の低い建物が交互に続く八日町通り。

何も遮る物のないまぶしい光の中を、空に糸を引く飛行機が北へ向かう。

東西に延びる八日町の通りから、南北に延びる十日町通りへ入り込む。
この通りは国道ということもあり通行量が多い。その通りへいまだ格調高い建物が威厳を放っている。

十日町には七日町に負けじと、意匠を凝らした店が増えていると聞く。

「これはフェイスブックのいいねマークだが?」
「んでも親指にはSてあるしなぁ?」

「おお、天気いいどやっぱり公園さは人がいっぱいいるんだなぁ」
なんだか子供たちの歓声と陽気に嬉しくなってしまう。

昨日降った雨は水たまりを作り、その上へ強烈な光が降り注ぐ。
もしかしてぬるま湯になっているかも知れないが、触れる気にはなれないなぁ。

「頭から落ぢんなよぉ」
頭に落ち続けるのは春の強い太陽光。

縞模様が強烈に自己主張している。
「読んでる本さも縞模様が写て、読みづらぐないが?」

「こっだいおがてはぁ!」
触るとコキコキするんだべが?プクプクするんだべが?

ついつい日陰を求めてしまう昼日中。
「あ、んねな。日陰んねど携帯の画面が見えねがらがぁ」

なんとも黄色と青の対比が際立って美しい。
こんな色彩は久しぶりの春。

この陽気だから公園に出向くのは分かる。
でも公園に来てまで携帯に見入るのは現代病?

J1に復帰して、フラッグも心なしか元気を取り戻しているようだ。

「こだんどごさモンテディオの銘板があるなてしゃねっけ」
座るのに丁度良い高さとサイズだけれど、さすがにベンチ代わりに尻を付けるわけにはいかない。
だって、山形を活性化してくれた選手たちだもの。

十字屋の東側壁面にはモンテを応援する看板が掛かっている。
みんな何気なく目の端に入れ、そしていつの間にかモンテサポーターになっていく。
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