◆[山形市]歌懸稲荷神社例大祭 飛び散る汗(2014平成26年7月12日撮影)
所々コメントが抜けてますが気にしないでください。単にやんだぐなただけです。

いつものように山交バスが走り、日差しが照りつける駅前大通り。
ただ、今日はいつもと違う。歌懸稲荷の例大祭の日だ。

「こいにしてこうだべ?」
「んねっだな。こいにしてこうだっな」
ギュッと紐を結び、担ぎ手たちは胸を高鳴らせながらそのときを待つ。

「ちょどしてねど、ちゃんと写さんねべず」

祝詞を聞きながら頭を垂れる担ぎ手たちを、何事かと紫陽花が耳をそばだてる。

子供たちはぎこちなく頭を垂れ、手水舎の竜はチョボチョボと水を垂れる。

「大人になたら、あいにならんなねんだがらな」
子供は訳も分からず、ただ片手で親にすがりつく。

いよいよスタート!
汗を掻くにはまだ早い。

「ちゃんと御輿さぶら下がて、んね、担いで歩ぐんだぞ」

強烈な日差しは子供たちの背中を容赦なく炙る。

「何ごどだべぇ?」
壁と同化していた花びらは、御輿のかけ声を聞きつけて花びらをグイッと開く。

「ちぇっと待って。今から国道さ出っから」
まだまだ道のりは相当長い。

「なんだべ?今日はお祭りだっけがぁ?」
自転車の高校生は威勢の良いかけ声に気圧されている。

「親子何代も担がんなねがら、ちゃっこいうぢから見せでおがんなね」

十日町から本局(現中央郵便局)目指して北上だ。

御輿にも紫陽花にもジリジリ照りつける太陽。

「早くてやんだぐなたのんねべね」
子供たちはうつむき加減。アスファルトの影は黒々と元気そうなのに。

ようやく郵便局前に到着。
百円バスが脇をそろりそろりと通って行く。

郵便局を折り返し、まだまだ日は高く、道のりは半分にも満たない。

肩に重圧が掛かり、腕には日差しが降りかかる。

紅の蔵へ向かい、国道を南進。
噴き出る汗を拭く余裕もない。というか飛び散る汗は勲章だ。

吐き出された熱い息が、益々街を熱くする。

息が上がり気味。でも意気と粋は失わない。

「ちゃんころまいしてもらうど景色が違うぅ」

担ぎ手の熱気と、大気の熱風に髪の毛がなびく。

「まんず去年と違て、今年は太陽の光が元気だまぁ」
汗を吹き出しながら、ようやく途中駅の紅の蔵へ到着。

「冷たい鳥蕎麦は最高っだなぁ」
あっという間に平らげる山形の美味。

「うっ、冷たい」
「んだっだべぇ。これが温こいごんたらごしゃぐよ」

グングン揺られたのに鳳は酔ったりしないのか、泰然自若と涼しげに羽を広げる。

「こいにゆすばがんなねのよ」
「難しそうな結び方だねっす」
「本当なら二〜三日前から濡らして結ぶのよ。んだど乾いだどぎぎっつぐなっから」

そして再び御輿は次の目的地へ再出発。
南は丸十大屋さんまで、そこから第二公園の南側を通り、駅前へとかなりキツい道のりが続く。

「どごば持づどいいが分がんねぐなたぁ」

紅の蔵内では、つくばいの中で紅花が静かに揺れている。

「やんだぐなたはぁ、早ぐ帰っべゃ〜」
傘の影にゴロンと転がり、子供は御輿担ぎの楽しさよりも辛さを知ってしまった?
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