◆[山形市]もみじ公園・山大・五小 冬は突然に(2013平成25年11月13日撮影) |
「あびや−、寒くてわがらね」 突然の冬到来に、モミジは赤くなってないし、人々は鑑賞する気も失せる寒さ。 |
庭園に、ザッザッザッと掃く音が響き、寒さを一層かき立てる。 |
怪しい空に、庭園の木々は身を縮めて雲行きを伺っているようだ。 |
雨か?いや雪だ。 遂に水面は小さな波紋をあちこちで広げ始めた。 |
「かろうじて助かたなぁ」 池に落ちずに済んだ葉っぱは、ホッとしたのも束の間、冷たい雪にさらされる。 |
「あっちゃ行げず」 「おまえこそ邪魔なんだずぅ」 東屋の屋根はタイタニック状態。地面へ落ちないように必死にへばりつく葉っぱたち。 |
いまこのときだけの赤・黄・緑が脳みそを刺激して、自然に心の中に旋律が生まれる。 |
水面の波紋を見つめながら、心にさざ波が立つ葉っぱたち。 |
水たまりにそっと沈んで、水のぬめりを確かめる。 |
それでなくても日が届かないのに、今日のみぞれ空はますます辺りを暗くする。 でも、暗がりに目を凝らすのも庭園散歩の楽しみの一つ。 |
雪の筋が間断なく続く。 しばらく木々の影に隠れて模様を見るしかない。 |
カモは首をすくめて、みじろぎもしない。 動いているのは降りしきる雪だけ。 |
「見頃はもうちょっと先なんだべなぁ。寒いどごせっかく来たのにぃ」 傘を差しながら、人々は無念を胸に足早に去って行く。 |
雪の降る縦縞模様がいつまでも続く。 突然の冬襲来に、赤くなりかけた葉っぱはちょっと焦っている。 |
「なえだて突然だもねぇ」 「んだずぅ、こだい突然降ってくっど思わねっけずぅ」 さすがの山形人も、雪の不意打ちにはびっくり。 ガソリンスタンドでのタイヤ交換も三時間待ちだってさ。 |
「助けでけろーてゆったんだが?ただ道行く人ば興味津々で眺めっだんだが?」 フェンスから漏れこぼれそうな葉っぱたち。 |
赤い絨毯は子供たちの心をあきらかに高ぶらせてしまう。 |
「こだい降ってんのになぁ」 子供たちは意に介さず、冷たい雪を逆に体を動かす燃料にしているみたいだ。 |
「こごさえ広がれば便利になるっだず」 「狭き門の話が?」 「んねず、この道路よぉ」 城南跨線橋から東に向かい、東北電力の十字路を過ぎ、この五小前で道路は突然狭くなっていた。 ここが広がれば、山大前までストンと抜けることが出来る。 |
全身から鬱屈したものが発散されている。 更地の泥を斜に眺め、滴を振り払おうともしない。 |
「こだんどぎでも授業てあるんだなぁ」 陰鬱一色の街並みに学生の若い声が一筋流れ、ちょっと安堵する。 |
「座らっしゃい」 「え?あ、いや、そのぉ・・・」 オシャレなベンチに誘われても、さすがに冷たく濡れた座面に座るのは躊躇する。 |
篭の鳥は隙あらば逃げようとするのに、 自転車篭の中へ自ら入ろうとする銀杏の気持ちがわからない。 |
「これもオレの人生っだず」 ハンドルの隙間に挟まったまま動けない銀杏の葉っぱ一枚。 |
「旨いんだげんと、踏んづけるのはちょっとねぇ」 銀杏の実は強烈な臭いを発散させたくて、あたりを伺っている。 |
「車もライト付けらんなねほど暗ぐなてきたがぁ」 まだ今年は晩秋の小春日和を堪能していない。早く寒波が去ってくれぇ。 |
車の屋根はワックスで水玉コロコロ。 銀杏の葉っぱに付いた水滴もコロンコロン。 |
山大の構内にも雪は容赦なく降り続く。 時折、傘の花が凍えるように通り過ぎてゆく。 |
「行ったはぁ」 郵便バイクがあっという間に走り去る。 もちろん、へばりつく葉っぱに郵便物が届くはずもない。 |
「赤ぐなくて残念だっけねぇ」 「まだ来っべした」 もみじ公園への入り口から、二つの傘が出てきた。 もみじ公園だけで葉っぱが染まっているわけじゃないぞと、五小の落ち葉たちがわめいている。 |
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