◆[天童市]南町・北目・芳賀 天童は凄いことになっていた(2013平成25年9月29日撮影)

「さすが天童だずねぇ。モミジの元気いいごどぉ」
青空に向かい、伸びをするようにワサワサ伸びる。
「んでも、ほのうぢ剪定されんのっだなぁ」

山形市と変わりないような街並み。
でも、よく見れば消防団のシャッターのまといが将棋の駒。

天童は道路整備に命を賭けている節がある。
ふんどし町といわれた南北に長い通りも、拡幅の真っ最中。

フンという文字がマジックで書き足されている。
どんな人の仕業なんだろう。しかも犬の目の周りにも輪っかが描かれている。

陸橋からみる天童駅方面を見る。
真新しい家ばかりでちょっとがっかり。舞鶴山が見えるのは救いかも。

陸橋の反対側に回り、南の方(山形市方面)を望む。
竜山は遠くに青く霞む。
なにやら道路のカーブの先には鉄骨が見える。あれはなんだ?もっと近づいてみなければ。

まだまだ日中は暑い。
ずっと続く塀の影から途切れたところを通れば、去りゆく夏の日差しがパッと照りつける。

「オラァ、雨の日も風の日も、道路っ端さ立ださっでよぅ。なにが悪れごどしたがず」
「悪れごどして立たされんのは人間だげでいいっだずねぇ」

「まんず人が歩がねがらこのざまよ。ある意味雑草の生命力は凄いげんとなぁ」
歩道の目地から逞しく伸びる雑草と人間の戦いは続く。

一夏で蔓は団子状態となって人の背丈以上に育ち、この世の栄華を楽しんでいる。

羽州街道の陸橋に登って見た。
なんぼ待っても電車が来ない。
レールは静かに日に照らされている。

さっき近くまで行ってみてみようと思った鉄鋼。
「なんだべこの大きさは!昔駅前さダイエーが出来だときは東西に200メートルあっど!とびっくりしたもんだ」
今目の前に横たわる鉄骨はその比じゃない。
「オレのいい加減な目測だど500メートルもあのんねが?」

こんな巨大なイオンモールが天童で建設中とは驚いた。
しかも「オープンまで半年しかないどりゃあ」

建設は急ピッチで進んでいるようだ。(実際どうなのかは分からないが)
こんな化け物みたいな建物がオープンした日には、山形はどうなってしまうのだろう。

強い日差しをギラギラ反射するオレンジ看板。
空の青、鉄骨の黒。なんだか目が痛くなる。

「なんだべこの光景は!イケイケどんどんの高度経済成長時代が?」
人口の減っている山形県で、工事の土音が高らかに鳴り響くなんて信じられない。

人間の飽くなき欲求がそうさせるのか、
もはや次々新築して次々壊していく方式を止めることが出来なくなってしまったのかは分からない。
この巨大建築、巨大資本が山形県にとっていいことなのかどうかも分からない。

太陽は鉄骨を鈍く照らしだすだけ。
こんな巨大建築も太陽から見ればごま粒にもならないか。

「あんまり近づいだら、ごしゃがれっべずね」
こらっ、近づくな!などと誰も注意をしないので恐る恐る近づいてみる。
無機質の骨組みがじっと見つめてくる。

「半年後にはこの辺大渋滞になっから、今のうち綺麗に咲いでおげ」
ゆったりと時間の流れる空間へ、半年後には新しい物好きの物欲の塊たちが押し寄せる。

「朝顔が巻き付く家は何十年も羽州街道ば見できたんだべげんと、
目の前さ、ぶずでっかいの出来でたまげっだべはぁ」

天童芳賀地区で複雑な気持ちになりながらアンダーパスをくぐって南町にでる。
日差しが強いだけに、景色のコントラストも強すぎる。

強い日差しはアスファルトへ幾何学模様を何気なく貼り付ける。

傾き始めた太陽は、はためく幟の影をビローンと伸ばす。

「ちょっとぉ、恥ずかしくてやりずらいべず」
小便小僧はカメラを気にして出るものも出ない。
そんな小便小僧をカメラで狙う親爺の影がぐいっと近づいていく。

いつも大通りしか通らない身では知るよしもない南部公園。
初秋の陽を浴びたトンボがキラキラ輝く、結構広い公園が住宅地の中に隠れていた。

「う、まぶしい!間もなく衣替えだてゆうのになんだべずねぇ」
夏は最後の日差しをカッと照らし、いつの間にやら衣替えを済ますつもりらしい。

「ありゃ、山形市内では見だごどない遊具だぁ」
キラキラ光の中で、子供たちは疲れを知らずにはしゃぎ回る。

「蜘蛛の糸さ引っかがったみだいだどらぁ」
「蜘蛛なのどさもいねぇ。雲の上さいるみだいだぁ」

「ダブルハンモックてしゃねべ?」
子供たちは言葉で挑発してくる。
「なんだほいず?」
「いましてける。ほれ、こいに二人並んでハンモック!」
子供ずぁ、おもしゃいもんだずねぇ。
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