◆[山形市]城北町・霞城公園 さんまの匂いに誘われて(2013平成25年9月22日撮影) |
「なんだが霞城セントラルが紫に煙っていねが?」 「サンマ焼いっだ煙っだなぁ」 今日は気仙沼から2000匹のサンマが霞城公園へやってくる。 |
「蜘蛛ば見っど秋だなぁて思うず」 「ちぇっとしたこめ、よぐ綺麗な幾何学模様ば造てしまうもんだ」 感心しつつも邪魔なものは邪魔。 |
「ジーッと待ってるなて受動的な態度んねくて、能動的に狩りにいったらいいべした」 太古からの蜘蛛の習慣に文句を言ってどうする。 |
「塀のそんばだど、反射熱で温かいべ」 小悪魔的な深い赤は、人の心を読んでしまいそうでなんだか怖い彼岸花。 |
「人恋しい秋なんだニャー」 「誰もかまてけねのが?」 「オマエからかまてもらうほど暇んねニャー」 腐っても鯛。暇でも猫。 暇なカメラ親爺に用は無い。 |
「高そうなカメラたがったんねがニャー」 「ほだごどないぃ、安っすいんだぁ」 「んだべニャー」 ちょっと心が傷ついたので、霞城公園でさんま祭りがあることを教えないで去ることにした。 |
前っから気になっているへんてこな建物。 かといって仕事に忙殺されているときは忘れているけれど。 道の真ん中にぽつねんと昔から立っている。 |
木造の建物にコスモスはよく似合う。 木造の温もりと、コスモスのなよなよした仕草。 |
「早ぐ行がねど、なぐなっべはぁ」 「寄付金たがったが?」 霞城公園でサンマを食べれば、気仙沼復興に少しでも役に立つ。 |
「ちぇっと通らねっけ人はどごだがわがらねべな」 昭和橋の両脇はあっという間に家並みが解体され、道路拡幅工事の真っ最中。 |
「東北中央自動車道からのアクセスがいいぐなんのっだなね。道路が広がっど」 確かにそうだが、失うものも多い道路拡幅。 |
「あんまり道路さ顔出すど、危ないがらな」 それでもキバナコスモスはゆらゆら揺れて道路にはみ出してゆく。 |
霞城公園へ車で入れるのは北門からだけ。 その風に巻き込まれて落ちた花びらは、路面を舞ながら萎んでいく。 |
「月はどごだー、月はいつ出でくるんだー」 ススキの穂は天に向かってひたすら手招きを繰り返す。 |
「ほしたらよ、トンネルしてしまたもはー」 「ガハハハァ、タイムリーエラーだっけずねぇ」 「いやあ笑た笑た」 霞城の杜はいつでも山形人の声を柔らかく包んでしまう。 |
「んまいっけねぇ」 「んまいっけなぁ」 サンマの味に満足し、親子が漕ぐペダルは軽い。 |
真っ赤なサルビアは甘い蜜を貯め込みながら、 いつもより多い人々の出入りに困惑気味。 |
「これだげの人が本丸復元ば見に来たど思ったら大間違いっだべ」 人々の気持ちを動かすのは立派な本丸じゃなくて、新鮮なサンマでした。 |
「見でみろほれ」 「行列なの見だておもしゃぐないぃ」 「本丸ば見ろてゆったの」 「益々おもしゃぐないぃ」 |
ギリギリと結わえられた竹が色あせてゆく。 平日から解放された人々が緩んだ顔で行列に並ぶ。 |
湛水される前の本丸のお堀。 あれだけの行列の誰が興味をもつでもなく、ただ雑草が静かに生い茂る。 |
サンマの力恐るべし。 人々は食欲の鬼と化し群がる。それでも一切列を乱さない国民性。 |
煙が目に染みる。服には匂いが染みる。心には気仙沼の心意気が染みる。 |
催しが終わった後も数日は猫が追いかけてくると、 サンマを焼く担当の方はおっしゃっていました。ということになるんじゃないかと心配する。 |
ビール箱をひっくり返して段ボールを敷き腰を落ち着ける。 この野外感が堪らない。 |
まな板の鯉ならぬ、オレンジ色テント下のサンマ。 山形人と気仙沼の人が喜ぶので、どうか恨まないで欲しい。 |
時折炭火からボゥッと炎が上がる。 煙は目に染みるものの匂いが勝り、鼻がヒクヒク動いてしまう。 |
「いい色に焼げだねぇ」 「夏は湯野浜さ行ったっけがら」 「サンマの色がよぅ」 腕の毛がチリチリと焦げそうになりながらも、ひたすら焼き続ける。 |
「大根おろしたっぷりなぁ」 大根とサンマは相思相愛。 |
「皿まで舐めっだ人いねっけ?」 「ほごまですねべぇ」 「今こごさ皿入れでった人よぅ」 「気のせい気のせい。腹減りすぎだのんね?」 食べ終えたら皿はゴミ係へ。 |
「わが最上軍へ援軍がまいったか?」 「殿、大漁旗とともにサンマの到着でござる」 「なんと頼もしいことぞ。やはり腹が減っては戦ができぬからのぅ」 この後、最上義光は軍馬から降り、サンマをたらふく食べたかどうかは分かりません。 |
「あ、汽車来たぁ」 「ちぇっと待ってろスマホで写真撮っから」 子供は興奮を抑えきれず足を大きく開き、網に指を引っかけて電車を待ち構える。 ※訂正:私はすぐに汽車と言ってしまいますが、電車の誤りです。 |
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