◆[山形市]飯塚 緑溢るる(2013平成25年5月31日撮影) | |
「こいずもしかしてスモークツリーんね?」 「近寄っても、さっぱり煙たぐないじぇ」 歩き始めてすぐに珍しい木を見つけ気分はハイになる。 |
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月山はまだまだ白く、スモークツリーは青空を煙に巻き、なんとうららかな初夏の候。 |
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「アヤメだがショウブだがしゃねげんとよ、ほだい勝負、勝負てきばてっど疲れっべず」 今を盛りと花びらをビロビロ広げて、道ばたで勝負を挑む。 |
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「ありゃ、まだいだ。まぶしいごどぉ」 人を攪乱し幻惑するような黄色が、光を浴びてなお一層妖気を放つ。 |
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飯塚は単独の村としては、おそらく山形市街に一番近い場所にある。 水路の向こうには間近に霞城セントラルが見えるのに、完全な田園の村という不思議。 |
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「これで周りさ山がないごんたら、おかなくてしょうがない」 適度な囲まれ感が好きな山形人には、あまりにも広々としすぎる光景。 |
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鉄塔の下に苗は入り込まず、オレの場所だといわんばかりに、鉄塔の影が力強く水面に絡みついている。 |
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「夏が過ぎ〜♪風あざみ〜♪」 脳みそのどこからともなく「少年時代」が吹き出して、苗を揺らして水面を流れてゆく。 |
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「こだい忙しいどぎによぉ、おだぐは暇そうだずねぇ」 おじさんは何にもいわないけれど、麦わら帽子にそう書いてある。 |
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「この風景は絵に描くのが簡単だな」 「んだて絵の具が黄色と青と緑しかいらねもの」 数ヶ月前なら、灰色と白しかいらなかった。 |
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「早ぐ田んぼさしぇでいげぇ」 軽トラの中で暑さに参りながら農作業の機械が呻いている。 |
「うへっ、蛇だどおもったっきゃあ」 突然目の前にべろんと垂れ下がるのは、 虚空を掴もうとする蔓だった。 |
あんまり花がまぶしいものだから、軽トラは遠くから様子をうかがっている。 |
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「ほっだなただの雑草撮ってなにすんのや」 「ちゃんとムラサキツメクサていう名前があるんだず」 ムラサキツメクサは鼻を膨らませて撮りすぎる自転車に憤る。 |
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「撮ってけろ、撮ってけろ〜」 「みんなちゃんと並ばんなねっだず」 シロツメクサは我先に伸びをして顔を出す。 |
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「気持ちいいげんと、体がゴワゴワなたはぁ」 あまりの心地よい風で、 憑き物が落ちたようにすっかり乾いてしまった洗濯物。 |
ミラーはどこかを向き、たばこは勝手に揺れ、 記念碑は黙して語らず、バス停は手持ち無沙汰で貧乏揺すり。 安部さんはニッポンヲトリモロシュと滑舌悪くつぶやいている。 |
何気なく葉擦れの音が聞こえ、何気なく陽光が降り注ぎ、自販機が退屈そうに地面を見つめる。 「こいなば幸せて感じらんなねんだべがねぇ」 |
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柳の木の下にドジョウは二匹いなかったが、なんとも味のある建物がひっそりと隠れるように建っていた。 |
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「止まれ止まれてゆうげんと、時間が止まれだが太陽が止まれだが風が止まれだがはっきろすろ」 ミラーに無理難題を押しつけて、ほくそ笑みながらカメラを向ける。 |
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「あたしばもまざらせで〜」 「オマエもこっちゃ来〜い」 遠くの一群に向かって黄色い声を上げてみるタンポポ。 |
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「なんだて緑の濃い村だごどぉ」 一軒一軒の敷地は広いし、どこもかしこも意匠を凝らした植木だらけ。 |
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モミジは塀に影を垂れ下げ、電信柱の影は地面にぬだばる昼下がり。 |
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水路の片隅で光が煌めき、小躍りしてる。 どんな隅っこも輝く季節。 |
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青空は水路の中にまで入り込み、濃くなってきた緑と戯れる。 |
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「ほだんどごさこごまていねで、遊び行ったらいいべした」 浮き草は水路の隅に集まり様子を伺う。樹木の影は水面でいつまでもまだら模様を揺らしている。 |
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「まぶしい白だぁ。洗濯日和だもなぁ」 「体の中のばい菌がどんどん死んでいぐのがわがっじぇ」 タオルは誇らしげに微風と遊ぶ。 |
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