◆[山形市]大野目・青野 変貌するもの、しないもの(2013平成25年3月22日撮影)

山形一の交通量を誇る大野目交差点が大変貌を遂げようとしている。
この慣れ親しんだ交差点も、3月28日午前零時をもって、山形市内から山寺・高瀬方面へは行けなくなる。

大空にゆらゆら揺れるペコリおじさん。
空気も穏やかになってきたから、表情も柔和になっている。
夜になれば体内を発光させて空中にぼうっと浮かぶ。

「ありゃ、ペコリお姉さんもいだんだな」
ひたすらご迷惑をおかけしますと、へりくだりながら笑顔でブイブイ飛ばす車を見守っている。

朝日連峰がくっきり見えるほど空気が澄んでいる。
PM2.5や黄砂はまだ山形まで及んでいないのか。

「とにかぐ間に合わせらんなねんだがら」
3月28日の開通に向け、新大野目交差点では、市内から山寺・高瀬へ向かう道路工事がが急ピッチで進む。

「あだんどごさ登るなて、おかないなぁ」
「おかないなてゆったら、仕事なのなにもさんねっだず」
工事現場にはピリピリとした空気が充満し、春の日差しはそんな空気を柔らかくなだめるている。

この画像は「大野目交差点の完成を見ずに去るのが残念です」といって山形を去った、
元モンテディオの宮沢克之選手に捧げたい。

「鎖みだいな重だいものば載せで、ご主人はどごがさ行ったじゃぁ」
一輪車は春の柔らかい光に包まれながら、夢の中を彷徨っている。

「あいやー、信号機てあだいおっきいっけ?」
人の体ほどもある大きさに驚き、口をあんぐり開け信号を見上げる。

「なんだが騒々しいげんともよ。
オラだは暇だぁ」
箒とちりとりは仲むつまじくぶら下がり健康法。

「ヘーイ、ステーキはどうだーい」
「ほだなごどやっでも、指先で擦っど、埃ついっだべぇ」
新大野目交差点の近くで、少年は工事の音にまみれている。

「いままでおっかがてだっけのに、いねぐなたはぁ」
「雪のごどが?」
「んだぁ、雪がいねぐなっど、体が不安定になてぇ」
自立にも限度がある倒れかけたフェンスは、これから誰に頼っていくか不安で仕方がない。

「よくもまぁ、こだいなるまで」
「体ば張って仕事ば全うしたのに、誰も評価してけねんだぁ」
「ほだごどやねでぇ。見でる人は見でっから」
誰も気にしないところで頑張っている物はたくさんある。

駐車場の車止めに迫り来る雪の塊。
ほんとはこの暖かさで、どんどん退潮して引っ込んでいく雪の塊でした。

パキーンと一直線に影を造る太陽の強い日差し。
三寒四温を繰り返しながら、いよいよ太陽の季節がやってくる。

「オレば撮ってなにがおもしゃいが?」
俯いているバイクにカメラを向け、自分も写り込んでしまったことに気づかない情けないカメラマン。

「月山の秀麗な姿ば撮っだいのに邪魔なんだずぅ」
電線は地上の至る所に張り巡らされ、月山にも幾筋もの線を引っかける。
「んだら、おだぐだの生活がどうなてもいいのが?」
邪魔者扱いされた電線は、自分たちの仕事を否定されたことに憤慨する。

盆地の底に、春の日差しに包まれた街並みが沈殿している。
その上に浮かぶのは、真っ白い雪の連なりがまぶしい朝日岳。

幹は関節からポキポキと音を発するようにして、
ようやく訪れた春を体に感じ、凝り固まった体をほぐしている。

蝶のように舞い、蜂のように刺す。じゃなかった。
あんまり温かいものだから、脳みそも混乱している。
とにかく今年初めて見掛けたチョウチョに感謝し、春にありがとうの気持ちを捧げたい。

小さな、ほんとに小さな紫の花弁が土手を覆う。
今年も春が来てくれてありがとう。

花の名は「いぬのふぐり」。なんとも不遇な名前だが、
そんな事は気にせずに、小さな花弁は口をパクパクして、空へ向かって春を一斉に告げている。

青白く浮かぶ山形の街並み。
その手前では、市内から山寺・高瀬へ抜ける新道路が、
茶色い田んぼの中へグレーの帯を伸ばしている。

盆地を眼下に眺めながら大きく伸びをする。
重苦しい冬を抜け出した開放感で、体調まで良くなったようだし、生き方も前向きになれそうだ。

「こごさ入てきてもらて困んのよねぇ。万が一たばこ火の不始末で火事なのだしたらなにすんの?
責任はオレがとらんなねんだじぇ」
「眺めいいどごば探して、ついつい入ってきてしまたっす。申し訳ないっす」
農作業のおじさんに叱られ、すごすごとこの地を後にしたが、気持ちは晴れ晴れ。
おじさんの対応が紳士的だったこともあるけれど、何より春の大気を思いっきり吸う事ができたから。
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