◆[山形市]第二公園 ハロウィンパレードin山形(2012平成24年10月20日撮影)

西日でほっぺたを光らせている子供が、流れる雲を見つめている市民会館。

向こうに三の丸の杜を眺めながら、ザクロが口をすぼめて秋の空気を吸っている。

ビルの隙間から西日が差し込んで、辺りはオレンジ色の大気に包まれる。

町の真ん中の静かな空間で、光が力を抜いてたむろする。
誰もいないから安全だとでもいうように。

歌懸稲荷神社の竜の口から出る水は、光をため込んでポロポロと空中を落下する。

共通語がわからない山形の方のために通訳します。
「柄杓ばたがてがら汲んだ水で手ば清めんの」
「ほのあどは口ばすすがんなねのよ、わがた?」
「なして、ほだい詳しいのや?」
「んだてお母さんからおしぇでもらたもの」
いい親の元ではいい子が育つ。

「元気だが?モンテディオ」
ビルの影に入った大きなフラッグに向かい、なんとか残り試合を頑張ってくれと念を込める。

真夏の濁った空はどこかへ消え、秋の透き通った青さが空を支配し始めた。

「今日は店休みんねがよ?」
のぞき込む子供はそれでも壁に張りついたまま動かない。

黄色くなり始めた木々に光が絡みつき、
そよ風がサワサワと光をこちょばしている。

ビルも第二公園の木々も、西日を浴びてまぶしそうに目を細める。

「ほれ、早ぐ行がねど〜。みんな待ってだべずぅ」
朝顔の花びらを見る余裕もなく、人々はハロウィンの会場へと急ぐ。

「なんだていっぱい集まったんねがぁ」
日本人はクリスマスして初詣するのが当たり前。
ハロウィンを楽しむのも、他国の文化を受け入れる度量があるからかもしれない。

「さっぱりおかなぐないがらな」
「変〜。いつものお父さんと全然違うぅ」
かわいいツインテールは、
変わり果てた父の姿にちょっとおびえる。

「早ぐ始まらねがなぁ。こだな格好でこっぱずがしいべず」
恥ずかしいといいながらも、少しだけ誇らしげ。

輝く笑顔が並んだのを見て、山形版ハロウィンの成功を確信した。

ビローンと伸びた黒い影は、ハロウィンの催しをいやが上にも盛り上げる。

「ちぇっと何がポーズとってけねがっす」
「え、私なんかより子供たちを撮ってください」
至極まっとうな受け答えをされ、少したじろぎながらも笑顔をいただく。

傾き始めた太陽は、いつまでも遊ぼうとする子供たちの姿を、忠実に地面へ再現し続ける。

「みんな凄い格好だずね」
「あたしもあいな格好してみっだい」
遊具に乗った子供たちは、着飾った集団に目が釘付け。

蜘蛛の巣の帽子をかぶって、
今日はお菓子をいっぱいもらうぞーと心に誓う。

「泣ぐ子はいねが〜」
「それはなまはげ」
「あ、んねっけ。食っちゃうぞー」
にわかオオカミは、心の底までオオカミになりきれない。

熟れたかぼちゃは不適に笑い、集まった人々を遠巻きに見守っている。

「そろそろ行がんなねんねがよ」
町へ繰り出す前のざわめきを、朝顔は何事かといぶかしげに見守っている。

「いい顔でな〜」
「ハイかぼちゃ〜」
「いい案配撮っだがもすんね」
はじける笑顔が、大気の中に揺れている。

「街中さレッツラゴー!」
「あの人、きしょいんだげんと・・・」
かけ声は無視されて、ぞろぞろと街へ繰り出してゆく子供たち。

「いってらっしゃーい」
第二公園の入り口に立つ象も笑顔で見送る。

「ウオー、ウオッ」
「何ゆてっかわがらねげんと、悪意はないみだいだな」

「お菓子けねどいたずらすっぞー、早ぐけろー」
カボチャ軍団は、このときばかりは無礼講。

「羽目外して道路さ出だりしてダメだがらなぁ」
「もちろんフリー飲み放題もダメだがらなぁ」
悪魔の格好してるのに、先導する人は真面目に子供たちを引率する。
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