◆[山形市]七日町通り歩行者天国 秋晴れに集う(2011平成23年10月9日撮影)


麗らかに晴れ上がり、竜山や千歳山は絹の生地がヒラヒラとなびいているようだ。

「みんなして太陽の方みっだんねが?」
「んねんね、早ぐバス来いて待ってだだげだぁ」
市役所前に日曜の日差しが降り注ぐ。

文翔館方面から山交バスが次々と走り来る。
きっと千歳公園発なんだろう。
バスは梅月堂前の交差点を次々曲がって、山形市内へ散ってゆく。

まだ朝の大気が抜けきらない七日町。
歩行者天国のイベント準備に余念のない人々を、柔らかい日差しが包む。

正直いって雑然とした裏通り。
でも、この都市計画でキチンと整備されていない雑然さが、何故か人々の緊張を和らげる。

まだまだ変わる七日町。
ぽっかり空いた工事現場は、さしずめ大きな日溜まりのよう。

天に伸びるクレーンも、太陽にしてみれば小さな針以下。
何事もないように、十月にしてはやや強めの日差しが降り注ぐ。

山形の名所に神輿が置かれ花を添える。
でも子供たちは、目もくれずソフトクリームにご執心。
そりゃそうだ、この暖かさだもの。

自分の目の高さからばかり物事を見ていると、真実を見失う。
神輿の下から覗いたら、見えたのは足ばかりで真実は見えなかった。

「かぶづいでダメェ。飾り物だがら」
子供たちはぶら下がりながら歯を食いしばって離さない。
ぶら下がっている物が全て食べ物だったらと想像してみた。

「めざしがリンゴさチューしった」
「生き物にはみな恋愛感情があんのよ」
「椎茸が嫉妬の目で見っだべ」

「風船もらたがらあど帰っべはぁ」
「ほだな殺生なぁ。まだ何にも食てねじぇ」
「んだら食だいのゆてみろ」
「ん〜、アケビの皮」

「昔なのただのどぶ川みだいだっけのに、こだい綺麗になていがったなぁ」
「人間長ぐ生きでっどいいごどあるように、堰だて報いられる日がくんのっだなぁ」

パキッと日差しを反射する蔵。
和風の空気の中を、洋風自転車が何食わぬ顔で通り過ぎる。

「あれが神輿ていうヤツがぁ。オレよりギラギラしったなぁ」
柱の陰に隠れて銀色に鈍く光るバイクが白旗を揚げる。

かろうじて右手に十一屋が見えるから七日町と分かるものの、
滅多に街へ足を運ばなくなった山形市民には、ここがどこだかとっさには分からないだろう。
しかもこんなに人々が集まっているし。

湯殿山神社は東日本震災復興を心から願ってます。
心を一つにしないと神輿の動きは途端に乱れる。
ぶれずにリズムに乗って動く様は心が一つの証拠。

「昔はりんごホッペタて、必ずクラスさ何人かいだっけげんとなぁ」
「ほっぺたがリンゴだごんたら、それほどいいごどないべず」
真っ赤なリンゴが秋の陽に輝きを増す。

「ありゃ、せっかぐステージば撮っかどもたら〜」
子供がちょろちょろとしゃしゃり出てきて、ステージで何か話そうとし、恥ずかしげに走り去る。

「こだい賑やかで、なんだが昔さ戻ったみだいだなぁ」
「昔の七日町ば知ってだんだがよ」
グリーンネックレスは鉢からポロンポロンと話し声をこぼれ落とす。

「こごさでっかいマンション建つんだど」
「マンションかあ、てっきりまだジャスコ建づんだど思たっきゃあ」
「ほだい何回もジャスコが建つはずないべした」
時間は途方も無いスピードで前にだけ進んでいる。昔に戻ることは一切無い。

「怪しいタニマチて何?」
「有料老人て誰?」
「ほだないいがら、ちゃんと石ころさ絵ば描ぐべ」
子供の絵描きにはちょっとふさわしくない新聞紙が敷かれてしまった。

「十月だもの、氷はながんべずぅ」
「んだて今日は半袖でもいいみだいだじぇえ」
空に浮かぶ氷の文字も違和感のない、快晴の七日町通り。

「おーイエーイ、玉コンとは握手できないんだよねぇ」
「一張羅だしなぁ。汚したら大変だものぉ」
一瞬玉コンに手を伸ばしかけ、子供の握手に応じる。

「輪っかば投げっど何がもらえっど」
「なんだこの輪っかはホースで出来っだんだがした」
アナログな遊びは子供達には新鮮。

東日本が復興しなければ明日の山形もない。
狭い通りで祈願の幟が空を突く。

「ほだい天高ぐ宣伝すねったて、どんどん焼ばしゃね人なのいねべず」
「あっ、んだのが。幟は県外客用なんだがしたぁ」

「暑いんだがら早ぐしてけねがなぁ」
じっと待ち、額をぎらつかせる折りたたみ椅子から不満の声が出始める。

「里芋のさとちゃんだっけがぁ?」
「んねべぇ、花笠の花子ちゃんんねっけが」
「サクランボの二子玉ちゃんだべ」
「紅花のベニトサカんねがよ」
まだまだ認知度が低いので、
はながたベニちゃんは最大の愛想を振りまく。

花笠音頭が響く七日町の路上。
「日差しがキツイまぁ」
ドキュメンタリー映画祭のパンフは、とりあえずの日除けとなる。

「下向いで何考えっだのや?」
「ただ緊張しっただげだっす」
さぁ、踊ろうというときに、チャチャを出してはいけない。

「ラッセーラー!ラッセーラー!」
「まったぐかけ声が違うど思うんだげんと・・・」
「んだよねぇ、こご山形だもねぇ」
足のステップを見て、つい調子に乗った。

「のってきた、のってきたぁ!」
「みんなの前で踊んのて、超気持ちいぃ!」
笑顔が弾け、汗もはじけ飛ぶ10月の山形。

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