◆[山形市]旅篭町・相生町 風が連れてきた春(2011平成23年4月24日撮影)
道路の拡幅工事現場に昨夜からの雨が溜まり、 勢いよく春風が水面をなでつけ、さざ波が立つ。 |
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行儀良く並んだ植木鉢たちも、 春の日差しを浴びながら、とにかくがんばろうと心が一つ。 |
山形に完全に根付いたモンテディオ。 青い空にモンテブルーがまぶしく映える。 |
街並みの中に「がんばれ」がこだまし、 春風に煽られた「がんばれ」は、まだ白い山並みを越えてゆく。 |
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「なんだがこの間までど違て、街中が華やかな雰囲気なんだげんと」 「んだっだなぁ、霞城公園の桜が、あだい咲いっだものぉ」 桜が咲いただけで、街中は冬の眠りから覚めたように明るく輝く。 |
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「なにが危険が迫てる気がすね?」 小さな鉢植えの花びらたちに、そっと近づく枝の影。 |
家並みの間を堰が縫う。 堰の縫い目に沿って春風が小躍りして吹き抜ける。 |
「いや〜寝だ寝だぁ〜」 大気の感触を確かめるように、そーっと掌を開いてゆく若葉たち。 |
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「関係者以外は桜を見ないでください」 という看板じゃなくてよかった。 |
昔の木の電柱と、現代のコンクリの電柱がお辞儀中。 間に挟まれた植木鉢は、ただポカンと見上げている。 |
だから旧市街はおもしろい。 すれ違うのも困難な隘路が、ひょいっと現れる。 ここを抜ければどこへ出るんだろう。少年に戻った心が小躍りし足を踏み入れる。 |
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「今日は天気いいげんともなぁ」 「んだずぅ、風強くてなぇ。帽子飛ばされるっけはぁ」 お互いに顔を合わせ近況を語り合い、健康を確認しあう四小前。 |
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「ほだいぎっつぐ押さえんたていいがらぁ」 「おかなぐないがよぉ?」 「一人で大丈夫だずぅ」 親としてはいつまでも手を離したくない。 |
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通りからは見えない路地裏に菜の花が咲く。 青空に生える黄色を一人で堪能する小さな贅沢。 |
「べっきだ、顔半分隠して何しったのや?」 「狭い隙間さいっど、なんだが落ぢ着ぐんだも」 「確かに大広間のど真ん中さいっど落ち着かねもなぁ」 足はんばがて、体を平べったくしてニッコリの工事カエルたち。 |
街角の看板はみなソーラーパネルにしてしまえばいい。 眩しく反射する看板の裏側も、無意味に広がっていてはもったいない。 |
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「この明るい真っ昼間に、なして電球が点いでんのや?」 「この人通りのある日中に、なしてネットさ鍵掛げでおぐのや?」 そんな小さな事には構っていられないと、白い雲は悠然と流れ去る。 |
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「ほっちゃこっちゃ花咲いでっど、自転車漕いででも気持ちいいもなぁ」 四小脇の路地に草花がほころび始め、おじさんの顔も自然にほころぶ。 |
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「そういえば今日は市議会選挙だっけずねぇ」 「凝り固まった山形ば、思いっきり掘り返してける人がいいのんねんだがよ?」 重機は日曜日が退屈でしょうがないようだ。 |
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まだ青い空に小さな粒々の芽が広がるばかりの、四小名物銀杏の大木。 |
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「なんだべこの人は。選挙もすねで街中ば写真撮りがぁ」 変なおじさんとは目を合わせないようにと、選挙を終えそそくさと私の前を通り過ぎる。 |
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「せっかぐだがら携帯さ納めでおぐべぇ」 「納めであど何すんのや?」 「わがんねげんと、納めでおぐどなんだが安心だべ」 桜は納めきれない気持ちを花びらで表現する。 |
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「皆霞城公園さ行ぐがど思たら、こごさも花見に来てけるんだねぇ」 「んねじぇ、選挙さ来ただげだじぇ」 午前中選挙、午後から花見。これが今日の山形市民のスケジュールらしい。 |
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グランドの隅っこで女の子が俯いて、地面を見ながらブランコを漕いでいた。 グランドの対角線にある桜は、大空を見上げながら春風に揺れていた。 |
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「四小の未来は明るいんだじぇ。 見で見ろ竜山が遠っがぐから見守ったも」 「自分だげ楽してハープさおっ掛がてんなぁ。重だいんだがら」 ハープに集う四小の子ら。 |
グランドを吹き渡る春風が、 ざわざわとツバキの草むらを揺るがして走り去る。 |
「早ぐ来ねど置いでいんからな」 「せっかぐの日曜、ほだい急いでどごさいぐぅ」 桜の花びらに後ろ髪を引かれ、兄妹の自転車が走り去る。 |
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「あたしだば窓からそーっと誰が覗いっだみだいだ」 「ん?んだりゃあ。ちゃっこな植木鉢がこっちば見っだどれ」 窓辺の植木鉢は、満開になる日を待ちわびている。 |
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蛇足ですが、帰りに銅町を通った。 いや、蛇足ではなく空中に浮かぶ蛇口でした。 |