◆[山形市]あかねヶ丘 陸上競技場と山商、初冬の光と影(2018平成30年12月2日撮影)

西バイパスからちょいと道を曲がれば、山形市の上下水道を司る場所がある。
霞城セントラルの向こうには雪の山。

いつもの地面のグチャグチャした冬独特の湿り気はなく、
太平洋側みたいにカラッとした空気が、乾いた落ち葉を転がしている。

「縄文土器が!」
「仁王立ちして立派だんねが?」
水道部内敷地は、新旧消火栓が並んで人々を迎えてくれ、
奥には日本庭園さえある。

空気は乾燥し冷たく、喉のイガイガが気になる。
西バイパス沿いでは、デーンと「福」が「食ふ」になって初冬の光を浴びている。

もう、いつまで咲いていられるか分からないという切迫感だけで、
なんとか空を目指している咲き方。

舞い降りた銀杏の葉っぱが隠れるには絶好の歩道。

「あだい、ちゃっこぐなてはぁ!」
47インターハイ開会式で鳩飛ばしをした私に言わせて欲しい。
あのときのメインスタンドからは、山形市街が一望できた。
それが今じゃスタンドはなくなり、ただの屋根があるのみ。

あかねヶ丘陸上競技場前には立派な庭園が広がり、常に人々が訪れていた。
今は昔。そのスペースには松だけが残され、日差しを遮っている。
今では広大な無駄スペースとして野ざらしなんだなぁ。

自転車小屋の屋根は、松葉をため込む役割もある。

広大で無駄なスペースと成りはてた場所には、松の雄花がひしめき合っている。

小さくなった建屋から水たまりを越えて、
学生や子供達の走る音がタッタッタッと複数交じり合って流れ聞こえてくる。

「昔は観戦用スタンドもあっけし、合宿所もあっけべぇ。」
敷地はサッカースタジアムを建設しても余りある広さ。
駅から歩いていけるサッカースタジアムとしては適地だ。
でもそれでは陸上競技を行う高校生達の行き場が無くなる。
あーじれったい。

枯れ葉には雪の綿帽子をかぶっている季節。
こんなカラッとした山形らしくない天気はいつまで続くのか。

すぐ近くのディーラーからタイヤ交換の音が響いてくる。
赤い実の先が、赤い車を仲間と思って撫でようと枝を伸ばしている。

何を語ろうとしていたのか?
語り尽くして看板は地を冷たい空気に晒している。

進入禁止を守るべく、と鍵は仕事に一心不乱。
誰が見ているわけでもないのに、サボるという言葉は鍵の辞書にはないようだ。

飾りっ気の無い扉だから、何かを描きたくなる気持ちは分かる。
だったらもっと気持ちを込めて、人をうならせるような作品に仕上げろず。

ビルを覆う白いシート。
側に立つ木々たちは、どう対処して良いか分からず、
それぞれが勝手に枝をあらぬ方向へ伸ばしている。

年金事務所と山商の間。
年金事務所の丸みを帯びた壁に、電柱はしっかりと影を貼り付ける。

山商を囲うフェンスには張り紙がぶら下がる。
太陽の光が強すぎて、フェンスの網が張り紙に黒い影でいたずら書き。

学校の周辺でカメラを片手にうろつけば、当然不審者扱い。
ということで、学校の校舎へ直接カメラを向けず、
地面の水たまりを撮ってしまった。

住宅地に似つかわしくない絵画。
学園祭か何かで使われたのだろうか?
しばらく眺めながら、誰がいつどこで、みたいなことを想像する。

ただ者ではないと感じる壁の色。
光の入射角で、壁のざらつき感が強調されている。

山商生なら見慣れた光景なんだろう。
校舎の北側に回り込むと、そこは光の届かぬ影だらけ。
東側には霞城セントラルが間近に見える。

「山商てゆたら小荷駄町だべ。」私の世代はそう考える。
そんな世代の言うことは年寄りの戯言か。
すでにこの校舎すらも再び新築されるそうだから。

山商の北西側に隣接して小さな公園がぽつねんと存在する。
ブランコの座面はピクリとも動かず、冬の光を乗せている。

山商の敷地は結構広い。
グルリと廻ってフェンス沿いに歩いてみたけど、校舎内は静まりかえり、
冬日に枯れ葉が輝いている。

ブロック塀とフェンスに挟まれた一角は、
白く色褪せた枯れ草が賑やかに、でも音も立てずに戯れる。

山商魂の赤い幕が、誰もいないグラウンドに活を入れている。

山商校舎周り巡りを終え一息。
ふと畑を見ると、古い井戸がシェーをしている。
イヤミがシェーをしていると言っても知っている人は高齢者ばかりか。
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