◆[山形市]元木・青田・南二番町・白山 風とともに散りぬ(2016平成28年4月9日撮影)

「吉田カメ?これこそら抜き言葉だべず」
風雪になぶられながらも、「ラ」を抜かれながらも未だに壁は健在。

「この秩序のなさ、節操の無さはなんだず」
「ほだごど言われっだぐない。こんでも意味があっての形なんだがら」
意味のある配線にちょっかいをだすように、春の日差しが影の配線をを付け足す。

「なんだてジューシーだごど」
「自転車がミニチュアなんだが?柑橘がデカすぎるんだが?」

「桜だげが春の花んねんだず!」
花びらをベロベロ震わせ訴えるのはコブシだが?」

「年しょたなぁ」
「なんぼ年しょたて、役目はちゃんとしったがらね」
満身創痍でも看板の役目を全うしようと、ヨロヨロ立っている。

青い空を強い風が流れてゆく。
花びらは翻弄されながらブハラブハラと踊り狂う。

この色合を待っていた。
色の無い世界が終わり、やっと淡い色が噴き出してくる喜び。

「顔が黒ポスだらけだんねが?」
「雨降ったがら泥跳ねだのっだな」
せっかくの綺麗な顔がもったいない水仙の花。

わずか数センチの背をグイッと伸ばし、春を満喫するムスカリの花。

いったいこんな色合いを、冬の間樹木のどこへ仕舞っていたのだろう。
春になると惜しげもなく人々を魅了する色彩が吹き出てくる。

竜山川の河川敷を散歩する人は絶えない。
強風にもめげず、ちょっとばかりの弱カス花びらが散るだけで、桜が土手に色を添える。

おもいっきり咲き上がった桜は、遠くの竜山に呼びかける。
「今年も咲いたぞー!」

「ちょっと、ちょっとぉ。足元も見でけろず」
なんだと思いしゃがんでみると、桜の根元で真っ黄色の自己主張。

霞城公園などの桜の名所なら、観光客が浮かれた気持ちを隠そうともせず桜見物をしている。
でもここは観光地ではない。
人々は浮かれた心を胸に隠して、そっと桜を愛でながら去っていく。

「気ぃつけでけらっしゃいなぁ」
「誰さゆったの?」
「もちろんタイヤっだな、水仙は動きようないもの」

「体中くすぐったくてしょうが無いず」
ミラーは普段じっと動かず、真実を映し込むものだが、
今だけはそんな心にさざ波が立っているようだ。

「ちょっと水仙さんよぅ。困るんだず、こごで咲がれっど」
「ますますオラだが汚く見えっべず」
周りの板パンコは苦情を言うが、水仙は聞く耳を持たない。

「川ばきれいにしようって、自分がきれいにならねどダメんね?」
看板は指摘され、錆の中に困惑の表情を滲みだす。

「親子と桜。こいなが王道の写真なんだべなぁ」

電信柱に体を預けた枯れ草が体を持て余している。
春の麗しい季節に、場違いだと気づいてしまったからなおさら。

「昔は元木なてなんにもない、いや畑しかないんだっけげんとなぁ」
ドッシリと体を構え、どれだけの年月風雨に晒されながら人々を見守ってきたことか。

色のない場所にも色を添えましょと、ひっそり咲いてくれました。
ガスボンベは首を傾げて、不思議そうな顔を向けるだけ。

川面を渡る風は強いけれど、暖かいので絶好の散歩日和。
白山橋の欄干は、目に刺さるように真っ赤っ赤。

桜の下をそぞろ歩く。
この行為は日本人の心を強くくすぐる欲望というか、本能なんだな。

子どもたちのケッツにこすられる部分に「日本体育」の文字が浮き出ている。
まさか日体大の学生が造っている訳でもないだろうが。

白山神社本殿の下からニョキッ顔を出している。
どんなに年しょても桜が咲けば外界に興味が出るもんだ。

「なんだず、ほだんどごさぬだばてよぅ」
「春眠暁を覚えずっだなぁ」
箒はウトウトしながら仕事を放棄する。

地面にガシっと絡みつき、何があっても倒れないぞとという意志が伝わってくる樹木。
そんな神社の境内は、昔から子どもたちの集いの場というか暇つぶしの場?

「人間はこだな真っ赤なものば生み出すんだねぇ」
桜は薄ピンク色に染まりながら、複雑な心境を吐露する。

都会か否かはスタバのある無しで決まるらしい。
そんなバカな。スタバが月山の頂上にあればそこは都会なのか?
この基準自体だれが考えたか知らないが、白山にもスタバができてしまった。

雲はぽっかりと浮かび強風に形を変えながら流れてゆく。
桜たちよ、どうか満開になる前に花びらを散らすなよ。

衝撃の画像!
よく見てほしい。なんと、枯れ葉に穴をうがって水仙の葉が突き抜けている。
枯れ葉は弓矢を刺された弁慶状態。

形あるものは必ず年をとる。
華やかな光を放っていた時代が過ぎ、春の光を受けて眠りにつくる老バイク。

街は華やかになり始めたばかり。
生が躍動する春に、太陽はガンバレと光を注ぐ。

春霞の向こうに見える芸工大。
入学式も終わり、新入生は不安と希望の新生活を初めているんだろうな。

春は草花に光を与えているだけじゃない。
ふと車の窓を見れば、そこにも雲がぽっかりと浮かび、陽光が窓にペッタリと張り付いている。

元木地区撮影の帰り。
鈴蘭街を北上しモンテの新たな看板を目にする。
看板は新しくなった。現在泥沼にハマっているモンテよ、一刻も早く這い上がれ!
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