◆[山形市]小姓町・諏訪町・もみじ公園 わにる冬(2014平成26年12月7日撮影)

「あれぇ、なんだて良い天気だずねぇ。空はモンテブルーだどれ」
今日はモンテディオの大一番。空がJ1復帰を高らかに宣言している。

徳島や他の日本海側が大変な大雪に見舞われているっていうのに、
山形へやってきた冬はいまだにわにている。(恥ずかしがっている)

日が昇り車に積もった雪も力なく消えゆく。

冬とは思えない日差しが壁に影をのたうち回らせ、ヤツデも艶々と輝いている。

小姓町の象徴、赤い電話ボックス。
今日はモンテの大一番だから誰も歩いていないのに、しゃんと立って人を待つ。

「これくらいの雪だったら、綺麗だぁなて、悠長なごどばゆてるいんだげんともなぁ」
空の青に本当に映える雪。

黒く伸びている細い枝にしがみついた雪は、太陽の力でビダビダ落とされる。

都市計画から残されたからこその懐かしさが溢れる光景。
光も溢れ、街並みを輝かせている。

びちゃびちゃの道を歩きながら考える。
「こだい空が突き抜けて青いなて山形では信じらんない。やっぱりモンテの奇跡が起ぎるんだべが」

「せっかぐしがみついっだっけのに、力尽ぎで落ちそうだどれはぁ」
まだまだ筋力のない雪は、山形に根付くことができないでいる。

「ほんてんこごがネックなんだがら。」
城南橋から東進した、この五小の南側が拡幅されれば、山大通りへ車はスムースに流れることができる。

「ひころぶなねぇ」
最徐行しながら、足を地面に滑らせながら、やっとの思いで右折していった。

雲から太陽が顔を出す。
家並みの隙間から日差しが地面を這ってくる。
かたくなに凝り固まっていた紫陽花が、弛緩するように枝を開きだす。

五小の定番撮影ポイント。
春は桜並木をくぐり抜け、右手に千歳山を見ながら、子供たちは校舎へ入っていくんだろうな。

溶け出した雪の下で、落ち葉が寝そべる五小のグランド。

ポワッポワッと咲くように広がる枯れ葉?
春になればまた青々と蘇るのか、枯れて終わったのかもわからない。
はっきり言えるのは、間違いなく凍えて震えていることだけ。

雪だるまを作るにはビジャビジャ過ぎるし、もちろんサッカーしてもボールは転がらないだろう。
でも、ただ晴れているというだけで気持は明るくなる。

「なして、ほだんどごさぶら下がてるんだずぅ」
「自分の意思んねがら」
自分の意思で動けないもどかしさを感じながら、一冬を過ごす羽目になるかもしれない傘。

「山大通りまでもうちょっとだどれは」
「そのもうちょっとが大変なのっだず」
道路完成がいつかは分からないが、今年ももうちょっとと思う感傷的な気持とはちょっと違う。

無味乾燥な壁の前で、ただポツネンと何を考え枝を広げる?

地面まで届かない日差しも葉っぱまでなら何とか届く。

もみじ公園に着いたのはお昼頃。
道理であちこちの枝から、あまけた雪が落ちていく。

スカッと快晴。
心の底の澱も、水底の沈殿物も取り払ってくれ。

塀に積もった雪は芋虫のように伸び、パラパラッと枝から雪片が舞う。

水底に積もった落ち葉に、青空の色がゆらゆらと被さっている。

じゅくじゅくの雪の上にも彩りを添える紅葉たち。

東原町の一角に太陽がズイッと入り込んでくる。
光の当たる部分だけが浮かれるように発光する。

「道路のテカリがまぶすくてよぅ、目ぇシカシカなんま」
確かに道路ばっかりが自己主張してテラテラ光を反射する。

この辺りから見る千歳山は本当にでかい。
千歳山がなかったら、どこの町かも分からないほどに存在感もでかい。

「ほだい皆こごまて寒いのが?」
「日ぃ当だっから寒ぐはないげんと、三本の矢ならぬ十本の傘っだなぁ」
意味不明。

竜山は雲の中に隠れているけれど、山並み全体が発光しているようで、清々しさを覚える日和。

諏訪神社のケヤキも青い空へ枝を伸ばす。
でも、道路を拡幅してから元気がなくなったように感じるのは気のせいか。

「ふむふむ、この分じゃ雪は当分降らんのぅ。」
「いつもこんな調子で、空見て呟いてるんだぜぇ。このじいさん」
ショーウィンドウの中は暖かいだろうなと、おじさんの手元の寒暖計を見る。
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